夏読書、総括の②。



近内くんの、たぶん2作目か。

前作『世界は贈与でできている』もとっても良い哲学の本だったけれど、今度は〈利他〉と〈ケア〉ね。何かもうテーマは定番過ぎて手が出しづらいところもありました。でもしっかり買ってしっかり読めば、やはり面白い。とにかく近内くんはわかりやすい。中学生でも理解できる哲学書。そこが彼の著作の武器なのです。

まあ今回もいろんなところから事例を引っ張ってきてたよね。
ワンピース、鬼滅、カフカ、三谷幸喜、ヴィドケンシュタイン、ユーミン、村上春樹…

え!?また村上春樹?

そうなんですよ。
先日紹介した大澤さんの本ほどではないのですが、チラリ出てきますね。しかも、もっと偶然を感じたのは、大澤さんの本で大きく扱われていた〈過去〉の問題が、この近内くんの本でも取り沙汰されているのです。

無理を承知で簡単にまとめると…

過去は変えられる→なぜ?→そのときはマイナスだった過去もそのマイナスのおかげで今がプラスに転じていたとしたらそれはもう往時マイナスだった過去とは別のものに変わっているから。
それはすなわち〈物語〉がつくりかえられたということ。
だれかのために、そのだれかが〈物語〉の中でまた踊り続ける(そう、ここで『ダンスダンスダンス』ね)ことができるように、〈物語=言語ゲーム〉をつくりかえてあげる。それがケアであり、利他であると。そこにはもちろん他者だけでなく、自己の変容も生じることになる=セルフケア。

すいません、せっかくわかりやすい本がわかりづらくなっちゃいましたか?

じゃあ読んでみてください。
哲学書?心配ないっす。これ哲学書じゃなくて、より良く生きるための書です。
どうせ生きるのであれば、より良く生きたいじゃないっすか。