真っ青な空、ふりそそぐ太陽。
もちろん、書を捨てて散歩に出かける。
公園の池のほとりを歩いていると、陸地ギリギリのところまで、かなり大きな鮒が迫り来ている。
おそらく餌を投げる人たちがいるのだな、そういうことを期待しているのだろう、鮒は物欲しそうな顔で口を開けて、じっと私を見ている。
しばし見つめ合う。
で、思い出した。この小説集。
口を開けた鮒と見つめ合ったことが、もしこの小説集の中の出来事であれば、これからとんでもない展開になってゆくのだけれど…
これも夏に読んだ本。涼をとるためのホラーとして読んだわけじゃないけれど、怖いというよりもエグい。
ちょっと話題になったよね。
この作家、『残月記』を読んだときも感じのだけれど、文章がくどい。
で、『残月記』は挫折した。
でもこれは読み通した。なぜならば、斜め読みとまではゆかないけれど、ゆる~く読んだから。読書のプロになると、臨機応変にそういう読み方もできるようになるんだよね。
てか『残月記』よりも全然面白かった。
〈耳〉も〈髪〉も良かったけれど、あの太った女性にめり込んでゆく奴がやっぱ相当にエグかったなあ。特別太った女性に対する嗜好があるわけではないけれど、このエロスはヤられた。
結論、ホラーではないな。
でも今日の鮒で、一発書きたいなぁ~