よく雑誌の追悼特集などで見かける〈R.I.P〉という記号の意味を最近知りました。
Rest In Peace。
良い言葉だなあ。




実はこの本を読了する少し前に、山本文緒さんの絶筆となった日記、『無人島のふたり』を読んでいたので、何か系統的に続いちゃうかなぁとか思いながら読み進めたのだけれど、これは『無人島…』とは別系統でしたね。
いやいや、山本さんの『無人島…』は一ファンとしてはかなりキツイ内容なのだけれど、胸に迫るものがある闘病記(ご本人は作中で「逃病記」と書いていたが)。

一方、教授は要するに『音楽は自由にする』の続編を出版したというわけなんだな。『音楽…』は確か以前記事にしたような気もするが、とても面白く読みました。うろ覚えだが、教授の青春時代も書かれていて、そういう青春プレイバックって、私好きなんですわ。
さすがに続編の本書では〈青春〉は振り返らず、お亡くなりになるまでの近況ということになるわけで、結局これを読んで一つ間違いなくわかったことは、教授は最後の最後まで前に突き進んでいたということ。
とくに、あらゆる意味や解釈を廃した〈○○自体〉へと情熱を傾ける姿勢には、個人的にはたいへん興味を持った。これってカント批判だよね。にしてもそれが音楽たり得るか否かは別問題なのだけれど…。
正直、坂本龍一にはチャラチャラした天才というイメージがあったのだけれど、単なるイメージでしたね。正真正銘の天才、いや、最後まで歩みを止めなかった、最後まで精進し続けた努力家でもあったわけです。

山本さんも、教授も、本当に素晴らしい才能をなくしてしまいました。
Rest In Peace.どうか安らかにお眠りください。