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壮絶なタイマン!




アウトは見てる俺まで痛くなったわ!




族対族はたいてい大勢対大勢の、いわゆる、総マン、ゴチャマンという喧嘩が多い。




んでも、今会うとで描かれているような代表者によるタイマン戦も、ここぞという時にはあった。




静かに、内部的に物事を解決したい時なんかにはよく行われる。




まぁ、俺がいた愚連隊なんかは、少人数だったから、タイマンよりも大勢に突っ込んでいく場合が多かった。




そりゃ怪我も絶えなかったわけだよな(笑)




族をやっていた人間なら分かると思うけど、走りや喧嘩は飯を食べるかのごとく当たり前の事だった。




それが小説になるとか、漫画になるなんて思いもしなかったけど、何故だろうと思う事がある。




俺は日本全国の暴走族や、不良だった人間達にしたら、ごく普通の不良だった。




特筆するような特技があったわけでもない。




人よりスケベで、人より強くなりたかっただけの、なまけもので単純なロクデナシ。




文才なんてあったもんじゃねーし。




きっと俺以外の不良が自伝を書けばもっと面白いんだろう。




一つ、へ~、そう思うんだ?って事はあった。




チキンが漫画になった時に、とある出版社の方に、井口さんが思い出に残っている喧嘩はありますかと尋ねられた。




色々ありすぎて分からないと答えた。




でも、いつだったか、十人くらいにリンチされて血だるまにされた時、何故か足を引きずりながらコンビニに行って、パンを買って外で食べた思い出があるんですと付け加えた。




パンをかじったら、歯が欠けていてうまく食べれなかったと。それが何故か猛烈に忘れられないと。




歯がねーって言って一人で笑った。




あとは疲れてしまってその場で寝転がった。




コンビニの明るさのせいで星なんて見えなくて、とにかくどんよりした空だった。




そしたらその出版社の方は言った。




「なるほど。小説になる訳はそこにあるかもしれませんね。井口さんはもっと書くべきです」と。




血だるまにされて歯も折れて、拳の肉がえぐれているような状態。




普通ならまず救急車を呼ばれるか、動けないままどうにかなってしまう。




でも何故か意識も半分半分のような状態でコンビニまで行き、飲み物を買うならまだしも、乾いた口の水分をさらに奪うパンを買い、かぶりついて一人で笑う。




何に向かって生きているのかも分からない、その空白の数十分間が「良い」と言ってくれた。





俺は何がいいのか分からない。




そんなヤツ、ただの頭がおかしいやつだろ(笑)



血だらけでパン食って笑ってるんだぜ?(笑)




絶対お友達にはなれない(笑)




まぁ、でも、そう言ってくれる人がいるんだから、書いてて損はねーかもな。



井口達也



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