「敦司君今度は車で走ろうよ」太目のマイが弾んだ声で言った。




「いいよー」あっちゃんはもういつものあっちゃんになっていた。




スイッチのオンとオフが激しい男だ。




一方的に殴り倒された挙句、誰も俺を気にしない状況。




これから状況を逆転しなければ苛立ちが爆発しそうになっていた。




何事も無かったように立ち上がり、俺は平気だからアピールをした。




しかし勿論誰も俺を見ていない。




ようやくあっちゃんがこちらを見たと思ったら、「きゃはは」と俺を指差して笑った。




そして「油断しちゃったねーたっちゃん」と言った。




その通りだ。




油断した。




油断して、俺もあっちゃんもやられた。




だが俺はお前のようにバカげたタフさなんて持ち合わせてないし、一人で不良四人を相手に出来るほどの恐竜的な力も無いんだよコノヤロウと思った。




「気分転換に流しに行こうよたっちゃん」あっちゃんは言葉を続けた。




ああ勿論そうするさ、今度はレンの部屋に直行だぜコノヤロウと思った。




あっちゃんとマイは車に乗るようだったので、俺はあっちゃんの単車にまたがった。




レンを後部シートに乗せてウハウハドライブだぜコノヤロウ!と思った。




さぁいつでもおいで!




そう思ったのも束の間。




マイは勿論だが、レンまでもがあっちゃんが乗る車に乗り込んでしまったのだった。




頭の中にチーンという音が悲しく鳴り響いた。




天然のあっちゃんはそんな状況はおかまいなしに車のエンジンをかけた。




あっちゃんがレンの車を運転するようだ。




そうですか。俺は一人ですか。いいですよ。いいですよ…




そう思いながらツバを吐いた。




俺もあっちゃんの単車のエンジンをかけると、運転席の窓が開いて、「これからレンちゃんの部屋でパーティーやるんだってー。車についてきてー」とあっちゃんが言った。




そうだ。そこは俺がまさしく行きたかった所。




しかし、しかしだ。




この状況は完全に負け戦だ。




俺達の周りに転がっているカズキたちのように、俺の心は折れかけた。




「へー、いいじゃん。行こうか」




精一杯強がって答えた。




そして俺達はレンの部屋に向かった。




~つづく~




井口達也

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