男達は総勢四人。




全員がコテコテのニュートラファッション。




いわゆる少年ヤクザ、チンピラ風の男達だ。




とはいっても顔はまだ少年。




俺やあっちゃんと歳はそう変わらないことは分かった。




おそらくこの辺のヤンキーだろう。




中年Aだろうか。




いや、酒臭くはなかったから違うだろう。




俺達に威圧的に話しかけてきた男はパンチパーマで、前歯が無い男だった。




いかにも血の気の多い顔つきをしている。




前歯は無いが、男前。




風格からして、このグループのリーダー的な男だろう。




後ろに控えている男達も堂々としていて、厄介な奴等に絡まれたなと思った。




しかし俺の目の前にはもっと厄介な男が座っている。




あっちゃんこと丹沢敦司だ。




勿論、この不良達は目の前の男が丹沢敦司だとは知る由も無い。




「何よカズキ。邪魔だからあっち行けよ」太めのマイが言った。




リーダー格の男はカズキというらしい。




俺は隣に座っているレンに耳打ちをした。




「この人たち、何?」




するとレンは気まずそうに「なんでもないよ。しつこくて困ってる」と言った。




どうやらこのカズキという男も、レンに恋している男なのだろう。




彼氏面をして「レン、これ、どういうことよ」なんて最初に言われたから、すっかり付き合っているものだと思い込んだ。




「あー、おにーさんたち、ごめんねー。今デート中だからあっち行ってくれる?」俺が言った。




するとカズキは俺を鋭い目で見下ろし、「何だテメェ」と凄んだ。




「俺?俺はレンちゃんの彼氏だけど?」




よくもまぁペラペラと相手の気持ちを逆撫でする言葉が出るものだと自分でも感心した。




カズキの額に血管が浮き上がった。




怒っている。




嫉妬している。




「じゃあそっちの男はマイの彼氏かよ」




カズキはそう言って笑った。




太目のマイを見下した言い方だった。




案の定マイは怒って「歯がねーから何て言ってるか分かんねー」と言い放った。




「ナンだとデブこら!」カズキは声を荒げた。




マイは確かに太っている。




カズキ、お前の言うことは何も間違っちゃいない。むしろ、賛成する。




俺はそう思って笑いそうになったが、予想外の展開に発展した。




「それ、失礼じゃない?」




丹沢敦司が口を開いた。



冷酷な目をしていた。

~つづく~




井口達也

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