俺と美形のレン、あっちゃんと太めのマイ、自然と二組になりながらファミレスに入っていった。




「いらっしゃいませ。四名様でいらっしゃいますか」店員が迎えてくれた。




「いや、2、2で別々の席でお願いします」俺が即座に答えた。




「はぁ?ちょ、おまえ…」マイが焦った口調で割ってはいる。




「あ、嫌だった?」俺はわざとイジワルな返事をした。




マイはあっちゃんに気がある。




レンとも車の中で二人をくっつけようという悪い企みを話し合ってきた。




俺の答えに若干もじもじとした様子のマイ。




ヤンキー女からすっかり乙女の顔になっている。




するとレンが俺を肘で軽く突いた。




あんまりマイをいじめないでという事だろう。




「えーっと、四人で」俺は店員に答えた。




俺達は窓際の奥の席に通され、一つのテーブルに四人が座った。




勿論、俺はレンの横にすかさず座り、あっちゃんとマイを隣同士に座らせた。




「すきなの頼んでいいよ」レンが言った。




最初は口数の少なかったレンも、俺と車内で打ち解けてからは口数も増えてきた。




「じゃあ…ハンバーグセット大盛りおかわりで」俺が答えた。




「まだ一杯目食べてないじゃん。気が早いよ」レンが言う。




「今の面白かった?」




「まぁまぁウケる」




俺とレンが勝手に盛り上がってる目の前で、マイはその大きな体を縮めてしまっている。




「マイちゃんも大盛りでいい?」俺が言った。




マイは乙女の顔から目つきが変わり、俺をにらみつけた。




「私コーヒー」




どうやらあっちゃんの手前、小食アピールをしているようだ。




「あっちゃんは何にする?」




俺が聞くと、あっちゃんは「アメリカンサンデーチョコ味二つー!」と言った。




「二つって何だよ二つって」俺が言った。




「一つはマイちゃんの」あっちゃんが答えた。




「え、あたしおなか空いてないよ」マイが言った。




うそつけコラと俺は思った。




「たべようよ~」あっちゃんなりにマイに気を使ったのだろう。




優しい男だ。




「遠慮すんなって」俺がマイに向かっていうと、「おめーが言うな」と強い口調で言い返された。




いつの間にかおめー呼ばわりされるまで嫌われてしまったように思えたが、目は少し笑っていた。




その後互いのたわいものない話や、互いの県の暴走族の話で盛り上がった。




不良はそういう話が大好きだ。




そして事あるごとにあっちゃんとマイをくっつけようと俺とレンはよいしょを繰り返した。




あっちゃんはかなりの天然男なので俺達の作戦なんて全く気がつかない。




俺達はまるで酒でも呑んでいるかのように盛り上がった。




すっかりと打ち解け合って、このままバイバイするのは寂しいねなんて言葉も彼女達から出始めた。




「じゃあ泊まっていこうかな」




今だ!と思った俺はさりげなく爆弾発言を投下したが、答えは「それいいねー!」だった。




俺は心の中でガッツポーズをした。




もう勝負はついたようなものだ。




久々の勝利に、俺のテンションは最高潮。




しかし、そんな和んだ空気に微妙な緊張が走った。




俺達のテーブルに数人の男がぞろぞろと近寄ってきた。




そしてその中の一人が俺達を見回して言った。




「レン、これ、どういうことよ」





~つづく~




井口達也

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