低音が空間と地面をつたって聞こえてきた。
ヴォンヴォン、ヴォー、ガオン、ヴォー
俺とあっちゃんは顔を見合わせた。
ヤンキー車、いわゆる改造されたヤン車の音だ。
疲れ気味だったあっちゃんの表情が明るくなった。
「乗せてくれるかな」あっちゃんが言った。
「だからさ、単車置いていけねーだろって」
「そっか」
「とっ捕まえて金でももらっちまう?」
「んー…」
一般人には手を出さないが、同じ不良相手なら多少のオイタは許されると思っているあっちゃん。
そして俺。
「とりあえず、車止めようぜ」俺が言った。
頭の中でこれから起こる事態のシュミレーションが出来た。
車を止める、揉める、殴りっこゲーム、喜んでお金を寄付してくれる。
俺がこう考えたようにあっちゃんも考えたはずだ。
そうこうしている内に車の排気音はどんどん近付いてくる。
俺は車が走ってくる車線に仁王立ちになった。
丹沢は道路脇で屈伸運動をしている。
やる気満々だ。
車は思い切りエンジンを吹かしながら進んでくる。
ここは車通りの少ないストレートな道路。
海風を浴びながら好き放題走れる最高のドライブコースだ。
しかし残念ながらこの車の前には金に飢えた大バカヤロウが二人もいる。
隠れ場所の無いサバンナで、ライオンの縄張りに入り込んできた小動物のようなものだ。
ライトがどんどん大きくなり、あっという間に50メートルほどの距離になった。
車は速度を落とし、俺の目の前でゆっくりと停止した。
ワインレッドに塗装され、フルスモークのGX71マークⅡだった。
ヤン車の代名詞ともいえる車だ。
都内近郊ではなかなかお目にかかれない、時代を感じるバリバリのヤンキー仕様の改造が施されていた。
フロントガラス越しに相手の顔を確認しようとしたが、辺りが薄暗くなってきていたのと、フロントガラスにもスモーク加工がされていてよく見えない。
クラクションの一つでも鳴らされるかと思いきや、運転席と助手席のドアが開いた。
「おにーさん、こんな所に立ってたら、ひかれるよ」
車から出てきたのは、二人組みの女だった。
~つづく~
井口達也
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