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さて、生きていれば不思議な事に遭遇する。




たとえば。




犬のフンを踏んでみたり。




ガムを踏んづけてイライラ爆発したり。




踏んだ人なら分かるよな。




踏んだ瞬間、あぁ…やっちまった…となるあの絶望感。




しかし。




俺はフンやガムを越える不快感を味わった。




恐らく、この世で一、二を争う不快感だった。




素足で…




小粒納豆を踏んづけた。




ヌリリ…と押しつぶされる感触をかかとで味わい、軽く滑りながらも、「あ…納豆イっちまった…」と電気信号が脳みそに昇竜拳。




何が厄介って、拭いてもあの匂い取れない。




結局風呂場で洗う以外選択肢が無くなるのである。




床には物凄い圧力によってペースト状になった納豆君がへばりついている残念過ぎる状況。




ああ、今日はもう仕事に行きたくない…そう瞬間的に思わせてくれるほどの不快感だった。




さて、そんな俺を待ち受けていたのは、もっと不思議な出来事だった。




遠くにはテレビでよく見るあのマスコットが。




生で見ちゃった~と思い、遠目で様子を伺っていたら…




何故か俺の方に近付いてくる。




んー。




見ている分には面白いが、絡まれると非情にやっかいだと俺は判断した。




目をそらす井口。




しかし奴はどんどん近付いてくる。




弾むように近付いてくる。




多分俺に向かっているんじゃなくて、俺の後ろに誰かがいて、そいつに絡もうとしているのだろう。




人気ご当地キャラが俺に絡むほど、中の人間はバカじゃないだろう。




俺の外見を見たら、大抵の人は近付いてはいけないという防衛本能が働くはずだ。





そんな俺の期待をまんまと裏切り、奴は俺の前に立った。




そして…おもむろに…




「一緒に写真を撮ってナッシー!」と言った。








これ、マジ。




何故俺に…。




井口達也


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