「ちょっと遊んでやったら、一人死んじゃいました」刺繍男は、確かにそう答えた。
「そっか」俺達を連れてきた男は何事も無かったように答えた。
俺は一瞬で頭に血が上って男に掴みかかろうとした。
すると福田先輩が俺を制止した。
「からかうなよ。おっさん」福田先輩は言った。
男は振り返り、にやりと笑った。
「あんちゃん、お前やっぱうちの組入らねぇか」
男はそういって俺達を事務所の中に招きいれた。
どういう事なのかすぐに理解は出来なかったが、福田先輩が落ち着いている所を見ると、仲間の誰かが死んだというのはただの冗談だと分かった。
ヤクザが俺達をからかったのだろう。
俺が身構え過ぎているのか、いつもなら相手を飲み込んでかかる自分の闘争心が上手く押さえ込まれている。
相手がやはり何枚も上手だ。
事務所の中に入ると、灰色の事務机が並び、割と小奇麗だった。
倉庫には似つかわしくない革張りのソファなどもあって、やはりただの倉庫ではなさそうだ。
そしてさらにドアがあり、奥にはまだ部屋があるようだった。
「そこにいるんだな?」福田先輩が男に向かって言った。
「ああ」
男はそうとだけ答え、ドアに向かって歩き出した。
男はドアの前まで来ると、「おう、俺だ」と言った。
数秒後、ドアがゆっくりと開いた。
~つづく~
井口達也
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