「先輩…マジで、どうするんですか。そろそろ作戦の中身教えて欲しいッス」村上が言った。
「ん?あのな、ごめんなさい大作戦だ」
福田先輩の言葉の意味を理解出来ずに、俺と村上は首を思い切りかしげた。
「どういう事ッスか」村上が言う。
「あのな、押して駄目なら押してみろって言葉があるだろ?」
「あー、あるある」俺が言う。
「いや…確かッスけど、押しても良いけど引いたら駄目だぜ、だったと思うッス」村上が言う。
誰一人正解を言えない状況。
ミジンコ脳の本領発揮だった。
福田先輩の気持ちの中では「押して駄目なら引いてみろ」と言いたかったのだろう。
福田先輩は話を続けた。
「こいつさらって人質交換と行きたかったけどよ、相手もさすがモノホンでよ、全然交換に応じないんだわ。って事で、次はごめんなさい攻撃ってわけよ」
「それ、攻撃か?」俺が言う。
「相手は任侠の男達なんだからよ、筋通せばなんとかなんだろ」
俺には全くそうは思えなかった。
あまりのシンプルプランに、福田先輩を信頼してしまった事を後悔した。
さすが三秒で思いついた作戦だと思った。
俺や村上に心の迷いが生じた。
しかし福田先輩は止まらない。
ぐるぐる巻きの男を担ぎ上げると、「ここで待ってろ」と言ってマンションに入っていった。
男らしかった。
福田先輩を疑っていたが、たまに見せる男らしさが魅力的だ。
残って待っているわけにはいかず、俺達もついていった。
そしてついに、事務所のドアの前まで来てしまった。
~つづく~
井口達也
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