焼肉ナユターで景気づけの一杯を飲み干した俺達は覚悟を決めた。
「道具(武器)持ってく?」村上が言った。
「意味無いんじゃん?」福田先輩が妙に明るいテンションで答えた。
本当に何を考えているか分からない。
嬉しそうにも聞こえる。
村上は自分の単車に、俺は福田先輩を乗せて自分の単車に跨った。
俺が単車のエンジンをかけると、「なぁんか、ワクワクすんなぁ」と福田先輩が言った。
そして「こういうの久しぶりじゃん」と付け加えた。
確かに自分より明らかに巨大な暴力に立ち向かうなんて事は、中学を卒業して以来無かった。
福田先輩は働いていたし、俺から見たら立派な社会人で、大人に見えていた。
今はそんな雰囲気は皆無だ。
俺から見ても「バカ」にしか見えなかった。
仲間をさらわれた時点で穏便な話し合いなんていう選択肢も無い。
それが小さいなりにも何とかつっぱってやってきたチームの意地だったのかもしれない。
どこにさらわれたのかも分からない。
事務所に行ってもいないかもしれない。
剃れでも行かなければ何も分からないから行く。
シンプルな流れだったが、死んじゃうかもなという思いはあった。
怖くないなんていうのは嘘だ。
怖かった。
頭がおかしいんじゃないのと言われている俺ですらそうだったから、村上もそうだっただろう。
福田先輩を除いた二人は、引くに引けない意地だけで動いていた。
アクセルがやけに重く感じたが、あれこれ考えてもまとまらないという堂々巡りを繰り返していたら、あっというまに事務所の近くまで来てしまった。
~つづく~
井口達也
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