「先輩…いい加減、そのぐるぐるストッキング外しませんか…」
総長がそう言うと、福田先輩は黙って首を振った。
俺達は総長の部屋に移動して皆で今後の対応を話し合っていた。
福田先輩は何故か顔に巻いたストッキングを外さずいた。
「意外と気に入ってんじゃねーの?」俺がつっこんだ。
すると福田先輩は俺を見て満面の笑みを浮かべた。
部屋の中の空気は暗いままだったが、福田先輩のおかげでどん底に落ちているわけではなかった。
空気を読んでの行動だろうか。
それとも、本当に気に入ったのだろうか。
どちらにしても、真剣な話の輪の中に、一人だけストッキングぐるぐる巻き男がいるのは、少しウザかった。
誰も怪我をせずに、見張り役も含めて全員がこの場所に戻ってこれたのは奇跡のようなものだった。
しかしこの先面倒になるかもしれないと思っているのだろう。ため息をつく者さえいた。
不良は自分のやり方にこだわるが、幼稚な方法である場合も多い。
行く時は行かなければならないと思っているが、強烈なしっぺ返しを喰らう場合も多い。
後悔しない生き様のように映る時もあるが、実は後悔と常に紙一重の所にいるのが不良だった。
それでも頭のネジが数本飛んでいる俺は、やった直後は後悔したが、少し時間が経っていたのでようやくいつものどうにかなるさ精神が湧いて来ていた。
「とりあえず、襲撃したバンはしばらく俺んちの車庫にしまっとこう。あとは出来るだけ一人で行動するな」総長が言った。
顔バレは誰もしていないだろうが、万が一誰かが奴等に捕まって尋問されたとしても、きっと誰も口を割らない。
仲間を売る事はない。
そういう男が揃っていたので、総長は余計な事までは言わなかった。
バンさえ見つからなければひとまずバレる事はないだろう。
その辺りがやはり大人の不良とは違う点だった。
幼稚なのだ。
俺達は、一息つく間もなく、強烈なしっぺ返しを喰らう事になった。
~つづく~
井口達也
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