「何やってんの…」俺が言った。




福田先輩は持っていたストッキングを総長に投げ渡し、「カルピス飲みに来た」と言って満面の笑みを浮かべた。




外部に話は漏らさないようにしていたはずだが、誰かが福田先輩に教えてしまったのだ。




山ちゃんの敵討ちを。




「誰に聞いたんスか」




俺がそう言うと、福田先輩は両手で口をふさいだ。




「かわいくねぇし」




すると福田先輩はまた満面の笑みを浮かべて、総長に一瞬目をやった。




どうやら総長が助っ人として呼んだらしい。




福田先輩は仲間だが、チームには入っていない。




その線引きはしないとチームにしまりが無くなってしまう。




それを総長自ら破るとは。




俺は気にしないが、村上はあまり納得していないようだった。




「まぁ、楽しくやろうぜ。福田先輩が居たら絶対成功するだろ」総長が言った。




「待てよ」村上が言った。




事情を説明しろという目で総長を睨んでいる。




村上の気合いに押されたのか、総長は小さな声で話し始めた。




「腹、痛くて」




どうやらまだ下痢が治っていないらしい。




集会も下痢で欠席。




山ちゃんの敵討ち当日というのに、いまだに下痢で不調。




情けない声だった。




「俺も山ちゃんのかたき取らせてよ」福田先輩が村上をなだめるように言った。




山ちゃんは福田先輩のお気に入りだった。




山ちゃんも福田先輩の働く弁当屋に毎日のように顔を出していたし、チームと言う枠を外せば友達だった。




さすがに村上も福田先輩には逆らえない。




顎を前に出して「ウス」と言った。




その後の話し合いの結果、襲撃実行部隊に福田先輩が加わる事になった。




その後、皆で一本のタバコを回し吸いした。




特に意味の無い行為だったが、俺は嫌いじゃなかった。




仲間とのつながりを感じる事が出来た。




大きな喧嘩の前などにはこの無駄な行為が何故か習慣になっていた。




「さぁて、ちょっとお仕置きでもしてくるかな」




総長の言葉を合図にして、俺達は襲撃用の車に乗り込んだ。



井口達也



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