「いいか。よく聞けよお前ら…」
総長がそう言うと、タバコを吸っている者は足でタバコをもみ消し、ふざけていた者は話を止めて総長を見据えた。
総長は一度咳払いをして話始めた。
副総長との約一時間に及ぶ長い話し合いで何を打ち合わせていたのか、そして、どうやって怪我を負わされた山ちゃんの仇を取るのか。
総長は実に十分以上も一人で話し続けた。
総長が話し終わると、話を聞いていたメンバー達は何が起こったのか分からないような、唖然とした表情をしている。
反応に困っているのか。
すると総長は満足げにタバコに火をつけた。
その様子を見て、村上が手を挙げた。
「ちょっといいか」
「あん?なんだよ村上」総長が答える。
「あのさ…要するに、ストッキングをかぶって、山ちゃんを轢いた奴をさらって、やっちゃうって事だよな?」
「そうだよ。何か文句でもあんのかよ」
総長の返事に、村上は大きくため息をついて言った。
「何がスペシャルだよボケコラ!変装して拉致ってやっちゃうだけじゃん!ドストレートなやり方じゃん!スペシャルでもなんでもねーし!こんなくだらねー話を一時間もしてたんかよおめーらは!」
村上の言う通りだった。
一時間かけて話し合い、十分かけて俺達に自信満々に語ったスペシャルな作戦は、村上が説明すると一行で終わる作戦だった。
しかも、ただの襲撃と言ってしまえばそれまでの作戦。
顔ばれしないために変装するだけ。
ストッキングである必要はなかった。
しかし、総長の言う事はほぼ絶対の世界。
俺達の敵討ちのテンションはがた落ちだったが、それでもやる事になった。
ただし、村上のリクエストで、ストッキングから網タイツになった。
言ってしまえば、ただの変態集団によるリベンジへとなった。
網タイツにする意味もまるでなかったが、もともとどうしようもない作戦だったので、もはや何でもありのワルノリ集団になり始めた。
実行日は、明日に決まった。
井口達也
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