みんな、ある意味俺の親父を誤解している。
そこでだ。
今日はリクエストに応えて昔話をしようと思う。
勿論、実話だ。
中学生の頃の話だ。
家に帰ると、親父は大抵ステテコ姿で新聞を開き、ごろんと横になっていた。
ある日、いつものように仲間達が家(団地)に集まってきた。
狭い団地だったけど、何故か皆来るんだよな。
六畳と、四畳半しかない狭い団地の一室が俺の家だった。
俺の家はタバコが自由に吸えた。
親父の目の前で吸っても一言も怒らなかった。
ただし、灰皿の外に灰がほんの少し落ちるだけで烈火のごとく怒鳴る親父だった。
空気に舞ってさ、ほんの少し落ちちゃう事ってあるじゃん?
あれでも怒鳴った。
というか、怒鳴るより早く鉄拳が飛んでくるわけよ。
その日もテルがぶん殴られて、「綺麗に吸えって言ってんだろうがクソガキどもがコラ!」なんて叫ばれてね。
とりあえず、吸ってる時点で怒れよ!って思うんだけど、変なところで潔癖症だった。
おかげで俺は今、変に潔癖症…というか神経質になってしまった。
俺と会った事がある人は分かると思うけど、俺は灰皿に、吸いおわったタバコを綺麗に並べて置く。
全部、親父のせいだ。
綺麗にしていないと親父の怒鳴り声と鉄拳がフィードバックしちゃうんだよ。
一種のトラウマ(笑)
話を戻そう。
そんな親父だったから、当時は俺と本当に仲が悪くてね。
何かといえば鉄拳。
怒鳴りあい、胸倉を掴み合う仲だった。
ドロップのメンバーなんて本当に全員ぶちのめされている。
唯一、アカシにだけは親父は甘かった。
多分、アカシはむちゃくちゃ礼儀正しい男だったから、親父は気に入ってたんだろう。
という訳で、テルがぶん殴られたのを見て、俺にもスイッチが入った。
「てめぇクソオヤジこら!ポンポンポンポン簡単に人を殴るんじゃねーよ!」
「何だとコラ。てめーに言われたかねーよバカ息子コラ。てめーがよそのガキどもをポンポン殴るたびにこちとら警察に謝りに行ってやってんだろうがよ」
「んだとコラ。てめーもやっちまうぞコラ!」
「なんだとコラ。親に向かってなんだそれは」
そう言うと親父はむっくりと立ち上がった。
仲間達はシーンとしてしまった。
ヒロシは完全にうつむいて、とばっちりが来ないようにしている。
殴られたテルは「俺は大丈夫だから落ち着けよ達也」と言って俺をなだめている。
引くに引けない俺は、わざとタバコの灰を灰皿ではなく、たたみの上にダイレクトに落としてやった。
それを見た親父は、俺をにらみつけた。
「やんのかクソオヤジこら。表出ろコラ!こっちはとっくにおめーより強くなってんだよコラ。調子乗ってっと泣かすぞコラ」
俺がそう言うと、親父は鼻で笑った。
そして、「上等だコラ。表で待ってろ」と言った。
俺は表に出た。
日ごろの恨みを晴らすチャンスだった。
俺を引き止めるように仲間達も全員外に出てきた。
団地を下り、下で待っていると、少しして親父が下りてきた。
しかし…
予想外の事が起こってしまった。
親父の手には金属バットが握られている。
(^井^)汗「え…」
まさかね…
そう期待した俺がバカだった。
親父はまっすぐに俺にかけよると、バットをフルスイング!
寸前でかわし、殴ろうとしたら、フルスイングの勢いのまま体当たりをされて、俺は転んでしまった。
そこからは何と言うか…
地獄?(笑)
親父にバットでボコボコにされた。
仲間達は怖くて誰も止められず。
「あの…」と言って説得しようとしたテルはもう一度殴られ、何故かワン公まで頭突きをくらってノックアウトされた。
俺は肋骨と腕の骨を折ったのだった。
仲間内では有名な伝説だが、ただの伝説ではない。
事実なのだ(笑)
息子にここまでするか!?
しかもさ、ケロっとした顔で見舞いにきて、エロ本を大量に置いて帰るんだよ。
何と言うか、規格外の男だった。
でも、今思うと大好きなんだよなー。親父の事。
半殺しにされたのに、何故かそう思うのである。
井口達也
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