そうこうしているうちに、ヒサシが仕事を終えて休憩所に入ってきた。
「おつかれー」
タクミの声にヒサシは「うーす」とだけ答えた。
そしてヒサシは俺を見て、「沖縄遊びにきたの?」と聞いてきた。
「まぁ、そんなとこ」
「海行った?」
「今日行った」
「そば食った?」
「食った」
「そっかぁ。じゃあ、何がいいだろうなぁ」
意外な言葉だった。
俺をどこかに案内してくれようと、色々と考えてくれているようだった。
タクミもヒサシも、サービス精神が旺盛な男だなと思った。
沖縄県民独特の気質だろうか。
外では暗くて分からなかったが、スタンドの帽子を外したヒサシの顔を見ると、こめかみに傷跡があった。
見た目どおりの不良なんだなと思った。
タクミと同様に沖縄のイイ男といった感じで、さっきまでの緊張感が嘘のように穏やかな目つきになっていた。
警戒心が少しとけたのだろうか。
「じゃあ、まず軽く流しにいこっか」
ヒサシに促されてスタンドの裏手に回ると、そこにはロケットカウルで暴走族仕様の単車が一台止まっていた。
~つづく~
井口達也
ディープな沖縄旅行?否!完全に危険な香りがする!続きを書くパワーをくれー★→人気ブログランキング投票
※登場人物おさらい
井口達也(ヒッチハイクの放浪少年)
タクミ(単車乗りの沖縄少年)
ヒサシ(タクミの不良仲間)