アメリカンタイプの単車に跨がった男は掘りが深い沖縄顔で、独特のイントネーションで「どこ行くの?」と言ってきた。
「決まってないけど、とりあえず沖縄一周かな」
「ないちの人?」
「ん?」
「本土の人?ってこと」
「そうそう。この辺で野宿できるとこないかな?」
「じん無いわけ?」
「じん?」
「お金ってことさ」
「あんまり無いかな。野宿とヒッチハイク繰り返してるよ。かっこいい単車乗ってるね。適当なとこまで乗せてくんないかな」
単車好きは自分の単車を褒められるとイチコロだ。
「怪しくて乗せられないわー」
全くイチコロではなかった。
俺はおおげさにズッコケるふりをした。
「適当に寝れるところでまででいいんだけど」
俺がそう言うと男は少し考えた様子だった。
「まぁ、いいかぁ。じゃあ後ろ乗ってよ。でも、おかしなことしたらくるすよ?」
「くるす?」
「ころすよってこと」
「なはは。ころさないでよ。はやく乗せねーとてめーをくるすぞコラ」
冗談を受け流さずに、いつものように強気でかぶせたら、その男の目つきが変わった。
~つづく~
井口達也
※ナメック星のシェンロンを呼びたい。願い事が三つまで叶うらしい。皆なら何をお願いする?★→人気ブログランキング投票