映画ドロップ公開中!

エンドロールの最後を
見逃すな!(^井^)

井口達也ブログCHICKEN~ドロップ・ゼロ~-映画ドロップ


「原宿でよぉ、
派手な格好して踊るの
流行ってんだろ?」

「そうなん?」

「流行ってんだよ。
女も混ざって大勢で
踊ったりなんかしてるわけ」

「へー」

「うちよぉ、
竹の子禁止なんだよ」

「なんで?」

「族とは住む世界が
違うんだよ。
族の人間が
竹の子族やってたらよぉ、
外から軟派野郎って
言われちまうんだよ」

「そうなんだ?」

「それにみつるさんよぉ…
自分が暴走族なのを隠して
竹の子族に入っちゃってたんだよ」

「うわー…」

「パンチパーマで
女とワイワイ
踊りまくってたらしいんだよ。
ありえねーだろ。
モテたかったんだと。
それが愚連隊の皆にバレてよぉ、
大変だったんだよ」

アカシは笑いながら
話しているが、
パンチパーマの男が
踊り狂う様子を想像したら
少し怖かった。

「親衛隊長っつー
立場もあるしよぉ、
皆への影響力もあんだろ?
だからそれなりに
責任取んなきゃよぉ、
下の俺等に
示しがつかねーって事でよぉ、
杉本さんにボコられたんだよ。
狛江の駅から竹の子の格好で
出てきた所をよぉ、
杉本さんにブロックで
頭カチ割られてんだよ。
そっから徹底的に
杉本さんにボコボコ」

「他に方法無かったの?」

「そういう世界なんだよ」

「美咲はどうしてたん?」

「杉本さんを行かせたのが
美咲さんだよ」

「マジで!?」

「美咲さん、
普段は優しいけどよぉ、
トップ張ってる人間っつーのは
そういう決断も
しなくちゃなんねー時が
あるんだよ。
まぁ杉本さんが直訴
したんだけどな」

俺は美咲の知らない一面を
知れてよかったと思った。

美咲が背負う物の大きさが
少し分かった気がしたんだ。

中途半端な気持ちじゃ
背負えない物だった。

あの小さい体で
屈強な男達を束ねるには
苦渋の決断も必ず迫られる。

遊びで済まされない面も
ある世界が
暴走族の世界だった。

「杉本さんとみつるさんはよぉ、
うちの二枚看板なんだよ。
強烈な二人が
協力しあって
愚連隊を支えてたんだよ。
それが竹の子の一件から
二人ともあんま
仲良くねーしよぉ、、
俺等も参ってんだよ。
だからよぉ達也、
みつるさんと杉本さんに関しては
今日は余計な事
言うんじゃねーぞ?」

今度ばかりは
俺の悪戯心は
大人しく胸にしまわれた。

自分でも余計な事を言うのは
やめようと思った。

その誓いもすぐに破られて
しまうのだが…。

「よっしゃ!
そんじゃ西河原公園まで
ノンストップで行くぜ!」

走り出したと思ったら、
ものの数分で
公園についた。

暗闇の中に
数台のバイクが
並べて停められているのが見えた。

「みつるさんだ!」

小声で俺に囁く
アカシの一言で、
俺はまた少し緊張し始めた。

次回

夜桜が舞う(69)

へ続く