映画ドロップ公開中!

エンドロールの最後を
見逃すな!(^井^)

井口達也ブログCHICKEN~ドロップ・ゼロ~-映画ドロップ


アカシが杉本に

見えないように

俺の膝をポンと叩いた。


安心しろ、

大丈夫だという

意味だったのだろうが、

この時はそこまで

頭が回らなかった。

杉本の目は明らかに
怒っているし、
どうしていいか
分からなかった。

そして杉本は俺の額に
自分の額が着く位に近寄って、
俺の目を見た。

要するに
「ガン」をつけてきた。

「杉本さ…」

杉本はアカシが言うのを
手で止めて
俺を睨み続けた。

頭の中には
やるなら先に殴っちまえと
言う自分もいたが、
威圧感に押されて
動けない自分もいた。

俺が出来る事は
尻込みせずに
目を合わせ続ける事だけだった。

ほんの数秒の事だったが、
実際よりも長く感じた。


すると杉本は
自分の口に巻いたバンダナを
勢いよく下にずらした。

殴られる!

そう思って反射的に
奥歯を強く噛んだら、
杉本はニヤっと笑った。


前歯が綺麗に無かった。


そして杉本が
鼻から息を吸い込む音が
聞こえたと思ったら、
俺の目の前で
大声で叫んだ。

「ゥオッス!」

俺はびっくりして
肩がビクっとなってしまった。

「ガハハハハ!」

「…」

アカシを見ると、
ホっとした顔をしていた。

「杉本さん、
何人に同じ事やれば
気が済むんスか」

「ガハハハハ!
度胸試しだよ度胸試し!」

どうやら杉本の
悪戯だったらしい。

「だってよぉ、
今日は特別な日だぜ?
こいつらの気合確かめねーとだろ?」

「そりゃそうッスけど…
こいつらなら大丈夫ッスよ」

「ああ。
こいつの目を見たら
何となく分かったよ。
たー坊、秀坊、
今夜はよろしくな!」

「…それ…ヤダ」

「ガハハハハ!
たー坊でいいだろうがよ!」

次回

夜桜が舞う(65)

へ続く



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