映画ドロップ公開中!

エンドロールの最後を
見逃すな!(^井^)

井口達也ブログCHICKEN~ドロップ・ゼロ~-映画ドロップ


「ちょっと待った」


玄関を出ようとする俺達に

アカシがタオルを投げ渡した。


「後ろで結んで首に巻いとけ」


「なんで?」


「さみーんだよ。

マフラー代わりに

すんだよ」


俺とワン公は

言われるがままに

首にタオルを巻きつけた。


「寒くなったらよぉ、

顔を隠すんだぜ?」


「なんか強盗みてーだよ」


「バァカ、俺らなんて

これだぜ?」


そう言ってポケットから

取り出したのはマスクだった。


「うわー…」


「寒くなったらっつーかよぉ、

警察のやっかいに

ならねーように

顔は隠しとけよ」


ワン公を見たら

まだ寒くもないのに

目だけ出して

タオルを顔に巻いていた。


「秀樹、かっけーじゃん」


「ヒョー!」


アカシに言われて

気分上々で外に出て行った。


俺はアカシの後ろに、

ワン公はこてっちゃんの

後ろに乗った。


辺りはもう日も落ちて

真っ暗になっていた。


「おーし、

今から出っからよぉ、

気合い入れていくぜ!」


出発の合図のように

アカシがアクセルを吹かすと、

ノブオを先頭に3台はゆっくり

走り出した。


大きな音を鳴らしたのは

この時だけだった。


町田に向かった時のように

静かにバイクを走らせた。


バイクが走り出して

5分もしたら上着を借りて

良かったと思った。


春といっても夜風は

まだ冷たく、

顔も少し痛かった。


俺は首に巻いたタオルを

鼻の上まで持ってきて

目だけ出した。


アカシ達と一緒だったせいか、

これから未知の世界に

飛び込むというのに

不思議と緊張感はなかった。


10分も走っただろうか。


交差点に差し掛かった

俺達の目の前を特攻服を着た

一台のバイクが横切った。

次回

夜桜が舞う(62)

へ続く