映画ドロップ公開中!
井口達也ブログCHICKEN~ドロップ・ゼロ~-映画ドロップ


ドン!
やられた!

そう思ったが、
アカシはとっさに
体を起こし、
肩口でその蹴りを
防いでいた。

そこからが
速かった。

石岡が
戻そうとする足を
掴んで立ち上がり、
そのままの勢いで
アカシは
石岡の軸足を払った。

石岡がつまづく様に
地面に片膝を着いたと
思ったら、
アカシの腕はもう
弓を射るように
後ろに引かれていた。

次の瞬間、
アカシの拳が放たれて
石岡の顎を貫いた。

片膝を着いて
沈んだと思った
石岡の体が
軽い人形のように
真横に飛ばされた。


強い。
やっぱりアカシは
アカシだった。

俺は無意識に
アカシに自分を
重ね合わせて
体を動かしていた。


まるでテレビの前で
ボクシングの試合を
見ている時のようだった。

のめり込むと
自分が戦っているように
体が動いてしまう状況に
似ていた。

アカシの攻撃が
止む事はなかった。

すぐに駆け寄って
石岡を蹴り飛ばした。

この時点で
石岡の強さを
再認識出来た。

アカシも本気だ。

勝ち急ぐような
そのやり方は
石岡の力を
認めているからこそ。

普段は大体
一発で終わる
喧嘩ばかりだから、
アカシが
二の手三の手を
繰り出すのは
珍しいことだった。

石岡を
恐れているようにも
思えた。

さらに
追い討ちをかけるアカシは、
倒れこむ
石岡の頭を
鷲掴みにして
頭突き、
そしてまた顔面に
拳を叩き込んだ。

後ろに飛ばされた
石岡は
大の字で
地面に倒れた。

アカシも
手ごたえがあったのか、
そこで攻撃をやめた。


勝った…?

そんな期待も
すぐにかき消された。


次回

夜桜が舞う(45)

へ続く