2009年3月20日金曜日
映画ドロップ公開まで
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町田に向かう途中、
アカシは一言も
口を聞いてくれなかった。
喧嘩の事に
集中してるせいも
あったのかもしれないが、
俺は何だか
申し訳ない気持ちだった。
俺のせいで
喧嘩に集中出来ずに
負けてしまったらどうしよう…
そう思ったら
さっき自分がとった行動を
後悔していた。
遠くでパトカーの
サイレンが鳴った。
アカシは急に進路を変え、
3台のバイクは
サイレンから
少しずつ離れるように
細道から細道へ進んでいった。
エンジンを
吹かす事も無く、
静かに静かに進む
アカシの姿は、
まるで俺に
考える時間を
くれているようだった。
町田の標識が見えてくると、
バイクはまた
大通りから外れていった。
街路灯で
足元が照らされた
電柱の下で
バイクは停まった。
周りは
倉庫のような建物ばかりだった。
アカシがやっと
口を開いた。
「よし、下りろ」
俺は言われるままに
バイクを下りた。
「あれが見えるか?」
アカシが
指差した方向を見ると、
並んだ建物から
頭一つ出た
建物が見えた。
「あそこだよ」
そういうとアカシは
タバコに火をつけた。
「ここからはよぉ、
達也と秀樹は
歩いて来い。
もうあいつら
来てるかもしれねーしな。
建物の間を
通るんだぜ?
誰にも見られるなよ」
俺は頷くしかなかった。
「何がおきても
飛び出してくるんじゃねーぞ?
それとよぉ、
帰る時はここに集合な。
俺に何かあった場合も
ここだぜ?
鉄矢も分かったな?
こいつら
必ず連れて帰るんだぜ?」
「わーったよ」
「よし、じゃあ行くぜ!」
このままアカシを
行かせるわけには
行かなかった。
俺はどうしても
一言謝りたかった。
「アカシ、ごめん」
するとアカシは
吸っていたタバコを
俺の口に咥えさせた。
「今日の俺はつえーぞ」
「いつもつえーよ」
アカシは一瞬笑って
すぐに厳しい顔になった。
「行くぜ!」
アカシの号令で
バイクは静かに走り出した。
次回
へ続く