「これか?美咲さんのだよ」
「居ないじゃん」
「達也が来てるっつったらよぉ、
ジュース買いに行ったよ」
そんな話をしてると
美咲が帰ってきた。
妙に嬉しそうな顔をしていた。
こんな時の美咲は
大抵何か企んでいる時だ。
「おーい!生きてるかー?」
「元気だなぁ…」
「達也程じゃねーよ。
アカシと喧嘩したんだって?」
するとアカシが
照れくさそうな顔をして
タバコに火をつけた。
「アカシ、達也はどうだったよ」
「まだ顎がいてーッスよ」
「そっかそっか」
美咲は
ビニールに入ったジュースを
皆に投げ渡した。
「飲め」
美咲がそういうと
皆缶を開けた。
それと同時に
皆の缶からブシュー!と
中身が噴き出した。
ノブオはモロに
顔面がびしょびしょになった。
美咲は一人で
爆笑していたが、
俺達は白けた顔で
美咲を見ていた。
アカシが切り出した。
「美咲さん…これ…」
「わりーわりー!
ちょっと振り過ぎちまったかな?」
そう言って
また一人で爆笑していた。
「プハー!
やっぱファンタが一番うめーな!」
誰もツッコめずに
苦笑いしながら飲んでいた。
口の中の傷に沁みたが、
その痛みごと飲み込んだ。
そう言えば
なぜ美咲が原付なのか
気になった。
「美咲、なんで原付なん?」
「今修理に出してんだよ。
今度の集会はヘタ打てねーからな」
「原付の方が似合ってるよ」
「まぁな(笑)」
「今日はファンタをぶっ掛けにきただけ?」
「お!達也は案外
根に持つタイプか(笑)
今日はよぉ、
皆に言いてー事があって来たんだよ」