気付いたら
アカシの部屋の中にいた。

「よぉ」

横にいたのは
こてっちゃんだった。

俺は起き上がろうとしたが、
意識がはっきりするのと同時に
顔面と腹に
強烈な痛みを感じて
起き上がれなかった。

「いてぇ…」

「大丈夫か?」

「アカシは?」

こてっちゃんは
何も言わずに
親指を立てて
自分の後ろを差した。

「外か…」

誰かが俺を担いで
運んでくれたのは
うっすら覚えていたが、
意識が
途切れ途切れだったので、
はっきりとは覚えていなかった。

「こてっちゃん運んでくれたの?」

「アカシだよ。死んでねーのを確認したら外に出てったよ」

「そっか…ありがと」

「達也ぁ、どうだった?」

「何が?」

「何がじゃねーよ。
喧嘩だよ喧嘩。
おめーが
わがまま言うからよぉ、
アカシ泣いちゃったじゃねーかよ」

そう言って
こてっちゃんは
笑いながら
タバコに火をつけた。

「…死ぬと思った」

「いやー、
俺は確実に死んだと思ったよ」

「あれ…」

「どした?」

俺は話しながら
口の中に違和感を感じていた。

「歯…折れてる」

「カッカッカ(笑)
それで済んで良かったじゃねーか」

「しかも2本…」

「どーってことねーよ」

「…」

「達也ぁ、これで諦めついたか?」


次回
へ続く