初めての方メニュー一覧からどうぞ


その瞬間、
殴り合っていた広斗達が
俺の上に雪崩のように倒れてきた。

俺の上に乗っていた奴が
横に押し倒される形になったので、
俺はすぐに立ち上がった。

そいつはまだ立ち上がってなかったので、
身体ごとぶつけるように
倒れこみながら殴った。

「ガチ!」

骨と骨が当たる音がした。

そのまま上にまたがって
もう一発殴ろうとしたら
そいつは自分の口元を手で抑え、
もう片方の手を
俺の前に手の平を開いて差し出した。

すると後ろから振りかぶった腕を握られた。
広斗だった。

「そいつ、もう参ったしてるよ」

「…」

すると俺を引っ張って立たせた。

「おい、おめーら、もうカツアゲすんなよ!?」

うずくまった奴等は無言だった。

「次俺の友達に手出したらまた来るからな。
それと…
先生達に泣きつかないでね!」

「何で可愛く言ってんの?」

思わずツッコんでしまった。

「いいじゃねーか」

「まぁいいけど…」

「よっしゃ!昼休みも終るし…退散!」

後を追うように俺も外に出た。

広斗は角を曲がった所で
急に立ち止まって隠れた。
そして覗き込むように便所の方を見た。

「よし、追ってこねーな!」

追ってこないのを確認すると歩き始めた。

「…大丈夫だよ(笑)」

強いのか弱いのか分からない行動に
俺は笑ってしまった。

「笑うな!追いかけられたらもう俺ダメだよ」

「何で?」

「もう立ってるのもやっとなんだよ(笑)」

「俺も(笑)」

「達也はやっぱつえーな」

「よえーよ…」

「なんで?勝ったじゃん」

「最後ぶつかってこられなかったら俺負けてた…」

「まぁ…運も実力の内っていうじゃん」

俺は調子に乗っていた事を痛感していた。

実力が伴わないのに調子に乗っていた。

馬乗りになって振りかぶられた時、
正直恐怖も感じた。

情けなかったし、
恥ずかしさを隠すよう口を開いた。

「ブンブン、つえーよ」

「誰だよブンブンって?」

「ブンブンはブンブンだよ。ブーン」

俺はハンドルを握る真似をした。

「俺のことかよ!?」

「ブンブンでいいじゃん」

「んー…まぁいいや!」

その時
昼休み終了のチャイムが鳴った。

「よし!達也また遊ぼうな!」

そう言って俺達はそれぞれの教室に戻って行った。

続く