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たった一日休んだだけで
何故か学校に来るのが
久しぶりに思えた。

密度が濃すぎる一日を過ごしたせいだろう。

教室に入るとすぐに
女子生徒に囲まれて
あれこれと聞かれたが、
俺はそのまま席に座った。

ワン公は
腕の怪我を気遣われたり
質問攻めにあってニヤニヤしていた。

周りが話す言葉が
嫌でも聞こえてくる。

そう言えば6年生と喧嘩したなぁと
遠い昔のように思い出していた。

衝撃と言えば衝撃だったが、
その後のアカシの喧嘩、
愚連隊との遭遇、
美咲との事、
全てがそれを遥かに上回る衝撃だった。


落ち着いていたと言うべきか、
燃え尽きていた感じに近かった。

そして周りが自分より幼く思えた。

周りの話がつまらないと
決め付けてしまっていた。

授業が始まると
脳みそから指先まで
脱力感に襲われた。

いつもそんな感じだったが、
今日は酷かった。

学童保育に行くために
親父が迎えに来るっていうのが
また俺を憂鬱にさせていた。

「なぁワン公」

「なんだ?」

「何かおもしれー事ない?」

「女の子に囲まれて楽しいよ、俺」

「…そっか」

ワン公は
短い春を過ごしていたようだったので、
俺はそっとしておいた。

昼休みになって、
何かを求めるように
俺は一人で体育館に向かった。

特に何かあるわけでもないのは
分かっていたが、
この脱力感を何とかしたかった。

俺は体育館の隅に座って
ぼーっとしていた。

「オイ、達也!」

見上げると鼻血を出した広斗だった。

続く