2016年2月14日(日)
「元禄港歌―千年の恋の森―」
シアターBRAVA!
作:秋元松代
演出:蜷川幸雄
音楽:猪俣公章
劇中歌:美空ひばり「港元禄歌」「流れ人」
衣装;辻村寿三郎
振付:花柳寿楽
出演
市川猿之助・・・瞽女 糸栄(座元)
宮沢りえ・・・・瞽女 初音
鈴木 杏・・・・瞽女 歌春
段田安則・・・・筑前屋 信介(平兵衛の長男)
高橋一生・・・・筑前屋 万次郎(平兵衛の次男)
市川猿弥・・・・越前屋 平兵衛
新橋耐子ャ・・・越前屋 お浜(平兵衛の女房)
ほか
ものがたり
元禄のころ。
播州のある富裕な港町では、船乗りたちが
宿屋遊び場を求めて行き交い賑わっていた。
いつも町の若者を引き連れて羽振りを利かせている
万次郎は、廻船問屋の大店・筑前屋の次男坊。
今日も些細なことから細工町の若者ともめていた。
五年ぶりに江戸の出店から戻った筑前屋の長男・信助が
そこに居合わせ、弟をいさめる。
兄弟の母親である筑前屋の女将・お浜が現れて信助を出迎えるが
信助に対する態度はどこかよそよそしい。
と、そこに聞こえてきたのは、三味線の音。
手引きの歌春を先頭に、座元の糸栄、そして初音といった
女たちが、三味線を胸に前の荷に手を置き、歌いながら
やってきた。
旅から旅に明け暮れながら、年に一度この港町を訪れる
瞽女の一行である。
その晩、筑前屋の屋敷では、瞽女たちの弾き語りが始まる。
千年の昔から森の奥に棲む女が、白狐となって
恋しい男に逢いにくる。
だが人里の男に恋をした罰に、生まれたばかりのわが子を
残して再び森に帰らなければならない。
そんな悲しい物語だ。
涙ながらに語る糸栄の姿に、胸に迫るものを感じた
信助は、初音を相手に、もしや糸栄は子を産んだことが
あるのではないかと問いただす。
信助は自身の出生に疑いを持っていたのだ。
初音は何も語らず、信助の前から去っていく。
一方、万次郎はもう三年の仲となる歌春と逢っていた。
そのことに勘付いていたお浜は、歌春に
求婚している細工職人の和吉と引き合わせ、
二人の仲を裂こうと画策する。
夫である平兵衛は旅芸人の女との間違いなど
たいしたことではないと一笑に付すが、
お浜には、夫に対して信助の出生にまつわる
忘れられない恨みがあった。
長男の信助を不憫に思う平兵衛と、
次男の万次郎が可愛くて仕方がないお浜。
店の跡取り問題もからみ、
夫婦の間に烈しい諍いが起こる。
その夜明け、小さな岬の丘の上に、
ひっそりと唐崎寺の阿弥陀堂が建っている。
虐げられた念仏信徒たちが詠唱念仏をつづけるなか、
それぞれの想いを胸に秘めた糸栄、初音、歌春も
一心に念仏を唱えている。
歌春は万次郎への想いを断ち、和吉に嫁ぐことを
決めていた。
人目を忍んで阿弥陀堂を訪れた信助は、
初音への想いをつのらせると同時に、
糸栄が自分の生みの母であることを確信
するのだった。
数日後。筑前屋では、唐崎寺の彼岸会奉納のために
万次郎と旦那衆が舞う能楽の準備が進められている。
そこへ、歌春と万次郎の関係を知った和吉が血相を
変えて怒鳴り込んでくる。
和吉に嫁いだ後も歌春と万次郎が密会を
していたのが知れたのである。
和吉は、激高した平兵衛に追い払われる。
万次郎も謹慎を言い渡される。
謹慎を受けた万次郎に代わって、信助が
シテをつとめる舞台が始まった。
その時、客席から飛び出してくる人影。
それは、何かを手に持った和吉であった。
和吉は、万次郎に代わって信助がシテを
つとめているのを知らなかった。
和吉は、信助にむかって何かを投げつけた。
それをあびた信助は顔をおさえ倒れこむ。
助け起こすが、和吉が投げた毒により
信助は目を焼かれてしまい苦しむ。
人違いであったことがわかった和吉は
逃走してしまう。
信助は、毒を目にあびたために失明してしまう。
その事を聞いた、糸栄と初音が駆け付け対面し
悲しむ。
役人により和吉と初音の遺体が運ばれてくる。
和吉が初音を殺し自害したのである。
万次郎は自分のために初音が殺されことを悲しみ
兄の信助が襲われ失明してしまうということの
重大な責任に打ちひしがれる。
しかし、この出来事で信助は糸栄に真実を聞き
親子のなのりをすることができた。
信助は、母・糸栄と愛する初音と共に瞽女たちが住む
所へ旅立って行くのであった。
悲劇だけど、信助は母と名乗りをあげられ
愛する人と暮らせるようになったわけで
信助にとっては幸せであるのかな。