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モンテカルロ法がコンピュータ囲碁を変える!?

久々の更新。新年度に入って少し忙しくなったので、更新頻度が減ってしまうかもしれせんが、よろしくお願いします。


前回、コンピュータ囲碁がなかなか人間のレベルに到達でない理由を述べた。今回は、コンピュータ囲碁界に革命をもたらした、モンテカルロ法について書いてみる。


モンテカルロ法を用いた囲碁プログラムとはどのようなものなのだろうか。簡単に説明すると、現在の局面からランダムに打って(厳密に言うと完全にランダムではなく、ある程度ルールが加えられているそうだ)無数に終局図を生成し、その中で最も勝率の高かった次の一手を採用するというものらしい。終局図まで作ってしまえば、コンピュータは一瞬で目算ができるので、前回の記事で述べた形勢判断が難しいという欠点を補っている。
数年前「Crazy Stone」という、モンテカルロ法をはじめて利用したソフトウェアが出現し、圧倒的な強さを見せたため、他のソフトウェアも次々とモンテカルロ法を採用した。その結果、コンピュータ囲碁はここ数年ものすごい勢いで棋力をのばしている。囲碁関係の知り合いのほとんどは人間がコンピュータに負けるなんてありえないとか、当分先だと言っている。しかし、個人的には囲碁で人間がコンピュータに負ける日はそう遠くないと思っている。どんなに遅くとも30年以内にはコンピュータに人間がかなわない時代が来ると予想している。

コンピュータ囲碁が人間にかなわないワケ

チェスや将棋、囲碁のコンピュータソフトの研究開発は盛んに行われている。コンピュータチェスは人間の世界チャンピオンに何度も勝利しており、コンピュータが人間を超えたと言える。また、コンピュータ将棋もすでにアマチュアトップクラスの実力があり、プロが負けるのも時間の問題だと言われている。しかし、それらに比べてコンピュータ囲碁はまだまだ人間には及ばない。それはなぜだろうか?知り合いにコンピュータ囲碁を研究している人がいるので、その人らから聞いた話を元にざっくりと説明してみよう。


まず、コンピュータはどのようにして次の着手を決めているのだろうか。一般的には、現在の局面から数手後の局面を何パターンも生成し、それらの局面を評価して、最も評価の高かった図になる次の一手を採用するといった流れである。


想定図をたくさん作るという作業はコンピュータが一番得意な分野なので、コンピュータの性能によっては膨大な数の局面を生成することができる。しかし、いくらたくさんの図を作ってもそれらの局面を正しく評価しなければ意味がない。ある想定図が黒が有利だと判断してその局面を目指して打ち進めていても、実際その局面は白が有利であったら形勢を損じてしまう。


チェスや将棋の場合、とった駒や王様の守りの堅さなどによって、比較的その局面を評価するのが簡単なのだそうだ。一方囲碁の場合は同じ局面をプロに見せても見解が分かれることが多々あり、それだけ形勢判断が難しい。単純に現在見えている地の数だけでなく、厚みや弱い石の有無などによっても形勢は変わってくる。それらを総合してコンピュータに機械的に評価させるのは非常に困難なのだという。人間でもどちらがやや厚いとか、打ちやすいといったあいまいな表現をよく用いる。


チェスや将棋に比べ、囲碁がなかなか人間のレベルに追いつかない理由は、囲碁のいわゆる「感覚の分野」を数値化するということが難しいためであるらしい。だがここ数年、上で述べたものと全く違うアルゴリズムを用いたプログラムが主流となり、急激な飛躍をているそうなのだ。それについては次回。

睦鎮碩九段と朴正祥九段のブログ

高尾紳路九段のブログ によれば、韓国の睦鎮碩九段と朴正祥九段が共同でブログを開設したらしい。なんでも、高尾九段に影響されたとか。さっそく、そのブログ を覗いて見ると、当然全てハングルで書かれており、全く意味が分からない。しかし中には碁盤の図が挿入されている記事もあり、それを追っていくと大体言わんとすることが分かってしまう。碁は「手談」というだけのことはある。このブログの最近の記事で面白い話題があったので、自分なりに解釈して紹介してみる。




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ヨセの段階で白が1、3とハネツイだとき、黒は部分的に手入れは必要かという問題。すなわち、黒が手抜いて白に5と打たれたとき手になるのかどうか。



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黒1、3と単純に後ろからダメを詰めていくと白の攻め合い勝ち。



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黒1とキリを入れてから3とマクっていくのはどうだろうか。これも冷静に白6とツナがれると白の攻め合い勝ち。



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黒1とキリを入れてから3と曲がるのがうまい手。白4と一目を抜かれても、5とサガっておけば、白がどうがんばっても目あり目なしで黒の攻め合い勝ちである。したがって、黒の手入れは不要というのが正解。


実戦で終盤時間の無い中であったら思わず手を入れてしまいそうだ。自分の打った碁をあとで並べなおしてみると、小ヨセの段階でも思わぬ損していることに気づくことはよくあるものだ。