春になると素人菜園でもあちらこちらで「とう立ち」が始まる。

 

ルッコラやほうれん草、カーボロネロなどの葉野菜にとっては、
これから収穫しても葉が固くて美味しくありませんよ、のサインだ。
できればそうなる前に食べ終わりたい。

 

さて、秋に種をまき冬を越したミニ白菜だが、待てど暮らせど結球しない。

きっと暖かくなってきたら、の期待むなしく、丸くなるどころか

どんどん細くなった。1週間で一気に背が伸びた。

 

―見事なとう立ちだな。

 

自虐的につぶやきたくもなる。
適期を逃したというより、適期がそもそも来なかった。
しかし白菜の花を見るのは初めてだ。

 

―菜の花みたいだ。

 

野菜にはそれぞれ植物としての分類があって白菜はアブラナ科だ。
同じ科のものは花もそっくりだからわかるという。

きっと大根やブロッコリー、キャベツも黄色い可憐な花を咲かせるのだろう。

 

―菜の花…、ひょっとして食べられるのでは。

 

試しに「ハクサイ とう立ち」で検索してみる。

 

なんと、みなその味を絶賛しているではないか。
やみつきになって、毎回とう立ち目当てに育てている人もいる。
道の駅などでは、とう立ち菜が白菜本体よりも高値で売っていたりするらしい。

これは驚きの発見だ。
 

さっそくお浸しにして食べてみた。

 

―うーむ、たしかに美味しい。

 

!マークをつける感激はないが、野菜好きな人はリピートするだろう。
菜の花よりも苦みが少なく甘さが濃く、柔らかい。

 

失敗は成功の母、とは誰の言葉だったかは忘れたが、
失敗したと思ったらたまたま成功だった、
という意味ではなかったかもしれない。

 

またひとつ、素人菜園で真理を見つけた気になるところだった。