まず火星の大気では人類は呼吸ができないので、外部と遮断された基地に住まねばならない。また地球から火星まで物資を送るには莫大なコストがかかるため、火星入植者は可能な限り物資を現地調達するか再利用しなければならない。

例えば空気だが、二酸化炭素は現地で調達できる。酸素は植物や藻類に生産してもらえばいいだろう。ただし、窒素だけは火星で入手したり生産したりできないので地球から持ってこなければならない。次に水だがこれについては問題ないだろう。過去の調査で火星の地下には大量の水が埋蔵していることが明らかになっているからだ。3つ目の食料については火星基地の中に農園を造り栽培することが考えられている。食料となる植物は痩せた土地でも育つジャガイモが考えられている。植物だけでなく動物性食品も食べたいが牛やニワトリのような家畜を火星に連れていくことはできない。これらの動物は飼育にあまりにも多くのエサを必要とするが、火星基地では使える資源の量に限りがあるからだ。代わりに魚を食料とすることをおすすめする。成長するのが早い。人糞などをエサにできるなどのメリットがあるからだ。またコオロギなどの昆虫も有力な食料源として考えられている。

電力供給も死活問題だ。火星は大気が希薄なため風力発電は使えない。石炭や石油などの化石燃料もないので火力発電も無理だ。となる太陽光発電が一番良く思えるが火星では時々、大規模な砂嵐が発生し日光をすっかり遮ってしまうことがあるので電力源としては不安だ。よって原子力発電が最も電力源として適しているだろう。

火星は地球と違って磁場がなく大気も薄いので常に有害な宇宙線が地表に降り注いでいる。対策としては住居を二酸化炭素の氷と泥で覆ったり、あるいは地下に埋めたり、自然の洞窟に造ったりすることが考えられる。

最後にテラフォーミングについて述べておく。テラフォーミングとは地球とは異なる環境の星を地球と同じ環境となるように改造することだ。目標としては火星と金星が考えられているがここでは火星についてだけ説明する。

具体的な手順はこうだ。まず核爆弾を起爆する、軌道上に巨大な鏡を建造する、小惑星をぶつけるなどして地中に氷の形で保存されている二酸化炭素、メタンガスなどを溶かす。これらの気体は温室効果ガスなので惑星全体の気温を高めさらに氷状のガスを溶解させていく。最終的に火星は寒すぎる惑星から人類が住むのに適した程よい温度の惑星へと変わる。だが、このままでは大気に酸素が含まれていないのでまだ火星に住むことはできない。そこで次のステップに移る。温暖化した火星には凍りついていた水が溶けてできた海が点在している。そこに地球から持って来た藻類を投下する。長い時間がかかるものの藻類は光合成によって着実に大気中の酸素を増やしていく。さらに、宇宙放射線を防ぐため火星周辺の宇宙空間に巨大なコイルを設置する。こうして火星は第2の地球へと変化を遂げる。もちろんテラフォーミングについて否定的な意見もいくつかある。第一に現在の科学力ではテラフォーミングを行うにはあまりにも費用と時間がかかるので実行は極めて困難だ。次に、仮に実現できたとしてもテラフォーミングの過程で持ち込まれた地球の動植物、バクテリアなどにより火星が汚染されてしまう。そうなると、もしも火星で何かの微生物が見つかったとしても地球のものと見分けがつかなくなるため生命探査に多大な支障をきたしてしまう。人間の態度に関する批判もあ。環境破壊によって地球に住めなくなったとしてもテラフォーミングすれば問題ないと言う人がいる。だが、そのような気持ちでテラフォーミングを行ったとしても結局、ほかの星を地球と同じように破壊するだけに終わってしまうのではないだろうか。宇宙開発を否定をしているわけではないが、私たちはまず自分たちが住んでいる地球を大事にしてゆかねばならないのではないだろうか。