いやー、久しくブログ更新してませんでしたが、本当に心待ちにしてた題材ですので、棋譜感想を書いてみます。

囲碁を知ってる人が何を感じて驚いているのか、少しでも伝われば嬉しいです。

とりあえず第1局。最初の棋譜だからご覧になった方も多いと思います。

 

ここまで、序盤の立ち上がり、ごく普通ですね。

初手は天元じゃないんですね。AlphaGo先生もまだまだですな。笑

まあ、それでも人間の序盤感覚というか、布石感覚というのは相当なものだ、ということにはなりますね。

 

と思っていたら、早速来ました。見たことのないツケです。

人間の普通の感覚だと、右上にかかりっぱなしの1子の安定を図るとか、右下に手をつけるなら、1間高ガカリとか、右辺重視で外からかかるとかでしょう。

「ツケ」という手に対する人間の理解は、相手を固める代わりに自分も固める、または切り違って何とかサバキを求める、というようなものです。

相手の石にツケた瞬間、直後に相手の手番ですから、ツケた側が石数だけでもどうしても不利な戦いになります。

しかし、AlphaGo先生には理屈はありません。

「なんや知らんけど、ここに打つのが一番勝率がええねん」というだけです。(ナゼか関西弁)

 

黒が普通にハネたところで、下辺にツケの第二弾。

「あんた、初心者やろ」と言いたくなりますね。

 

お互いにハネた後、黒はカタツギ。まあ、そうですね。

元々黒の勢力圏ですから、白にサバかれないように、黒の断点を無くしておくのは当然の手に見えます。ちょっと重いかな、でも仕方ない。

 

右下も白がハネたところで、カタツギ。面白い形ができました。

「白さん、これどうサバクねん」と聞くような感じですね。

 

これがいわゆる「利かしと見る」ってやつですね。

ツケハネた石は放置して右辺に大きく開きです。

こうして見ると、ツケハネた白石は一応外側に向いてるので、将来何らかの役には立ちそうです。

内側から掛かって一方的に攻められる石を作るより、全局的に余程働いています。

なるほどなるほど、これは勉強になります。

 

黒が右下から右辺の薄みを突いてきました。

 

ウッソー!

ここで手抜き。しかも左下隅からコスミツケ。

下辺左の黒1子を強くしたら、下辺に利かした白石が余計に動きにくく、つまり攻められやすくなるんじゃないですかね。

「下辺の利かした石は、ちょっと気にしてもらえればもうそれで十分や」てことなのかなあ。

 

あ、黒もAlphaGo先生ですからね。笑

「コスミツケ? なんぼのもんじゃい」

まあ、何しろ、手抜き手抜きのオンパレードです。

 

白も右辺は一旦無視。

さっきのコスミツケとこのツギで、下辺半分はほぼ白の縄張りですから、まあ話の筋は通ってますね。

 

もう、ここら辺から私にはカオスです。

右上のかかりっぱなしの白1子をさっさと治まるくらいしか考えられないんだけど、この手は一体なんでしょう。ニ間に飛んでる黒石を攻めようとでも?

 

ほう、右辺の石を救出にきたのかな。

その左からのハネダシが怖いですねえ。

AlphaGo先生には怖いとかいう感情がないのは最大の強みでしょうね。

 

そう、ここのハネダシ。

これ一発で、もう中央は真っ黒になりそうに見えますよ。

ああ、でも右辺は白に取られますね。

 

中央に黒の勢力が来ると、こういう手が強烈になりますね。

下辺の白4子も気になるし、左下隅にも何か手が生じそうです。

 

はい、来ましたね、左下。

なんと言うか、地だと思ってたところがどんどん地じゃなくなる。

本当に変化が激しいです。

プロに初めて教えてもらった時に、想定図がフリカワリがらみで振れ幅が大きくとても驚きましたが、それに似た感じがします。

つまり、たぶんプロ以上に振れ幅が大きい、という感じです。

 

白がここにアテたとき

無視して左下の押しです。

もう、何がなんだかさっぱりですね。

 

さらに、白は左辺から受けるのではなく、グイっと間に出てきました。

AlphaGo先生に愚形とかいう概念は無いようですね。

「形? 何それ、勝敗に関係あんの?」と言ってるようです。

 

左上が戦場になりそうです。

白いコスミ3連石の運命やいかに?

 

え? そっち、ですか。

先生のカタツキ好きは相当なものですね。

いや、打たれてみれば、確かに良い手ですね。この石は死ななそうだし。

でもちょっと無理気味に見えなくもない、こともなくもないかも。

(解説なんて無理ですから。笑)

 

黒は左上に襲いかかります。

白のコスミ4連石の運命やいかに?(二度目)

 

なんか堂々と中央に出てきましたよ。

攻められてるとか言う意識は、あ、当然無いですね。笑

 

黒は生ノゾキで露骨に目を取ります。

さすがにこの白は苦しい。私なら形勢見ずに、もう投げたい気分。

ちなみにこの碁は白が中押し勝ちになります。

どういうことなんでしょうねえ。

 

あれれ、ツケコシを連発してあっさり左辺に渡ってしまいました。

へー、あざやかなもんです。

 

さすがに中央の白5子は切り取られましたが、上辺を押さえこんで、今度は白が攻める番です。

 

へー、こんな受け方があるんだ。

高段者には常識というか、第一感なのでしょうか。

私なら、三々かなあ。

 

序盤で手を抜いていたここ、今頃白が手を入れました。

序盤の時点でも、相当大きいと思うんですけどねえ。

 

問題です。

上図で黒がここに打ったとき、白はどこに打ったでしょうか?

 

正解がこちら。笑っちゃいますよね。

これが想定できなきゃ、アルファ碁先生には勝てませんよ。

あははは

 

そしてなんと、白は上辺単独で生きちゃいました。

さあ、後はあちこちヨセるのかなあ。と思って見てたら、

 

え? その黒、動き出すの?

ああ、中央2子へのアタリから、下辺の攻めあい狙いか。

 

黒の構想は実らず、白が渡ってしまいましたので、黒持ち込みかも。

コウ材にはなりますが。

 

黒は右下を1子抜きました。大きいですね。

この後、訳の分からないヨセがず〜っと続きました。

 

終局図。黒の投了です。

この局面、天頂の囲碁6の判定では、白が4目半勝ちだそうです。

 

いやあ、歴史に残る驚愕の棋譜を残してくれたDeepMind社の開発者の皆さんには、感謝しかありません。

この時代に生きてて、本当に良かった。