Master先生の黒番です。
低い中国流ですね。
ふと思ったのですが、先生の手は、4線よりも3線が多いですよね。
かかりに受ける時も大抵1間ではなくケイマに受けますし。
そしてカタツキに代表されるような外側の手として、5線以上も多い。
ひょっとして、「4線は敗線」なんですか?
もしそうなら、驚愕の事実ですよ。
学会に発表しなくちゃです。
あ、ここは1間に高く受けるんですね。
右辺に石がありますからね。当然ですね。
さっそく前言撤回です。
はい、また頂きました。
右上定石途中の手抜きです。
今後は、この手抜きが定石になるのは間違いなさそうです。
反射的にR16に押さえたりしたら、「あ、古い定石ですね」って言われちゃいますから、気をつけましょう。
武宮九段も苑田九段もビックリの、むしろ級位者が打ちそうな巨大宇宙流の出現です。
こういうの、アマは大抵めちゃ好きですけどね。
私も大好きです。
でも、広げりゃ良いってもんじゃないですよ。
「模様に芯を入れる」っていう言い方があるんですが、あ、これも先生は知らないですね。
碁の基本的な考え方とか、先生は要らないですもんね。
さあ、入ってきましたよ。
相当深い感じですが、どう攻めますか。
ここですか。
茫洋としていて、良いのか悪いのか、全くわからないですね。
スゴイですねえ。怖いですねえ。本気ですねえ。
先生、何か怒ってます?
カルシウムが不足すると、気が短くなるそうですよ。
あんまり厳しく攻めると、相手が生きた時にこっちが薄くなってしまうんです。
苑田先生の有名な格言に「美人は追わず」っていうのがあるんですけど、これも知るハズないですね。
はい、また頂きました。愚形の見本、空き三角です。
白がP4にハネダシたら、どうするんですかね。
ハネダシには切れませんからね、次取られちゃうんだから。
白3子のダメを詰めたってことでしょうけど、愚形の極みですよ、これは。
ここはP5に飛ぶのが「三目の真ん中」といって急所なんです。
ひと桁級以上なら誰でも知ってますよ。
当然ですが、来ましたよ、ハネダシ。
相手はプロですからね。
普通なら「はい、終了〜」です。
囲碁用語(というか梶原用語)では「オワ」っていうんです。
さあ、ここで先生がどう対応するのか、見ものですね、これは。
あれ?
あ、そうですか。
それで大丈夫なんですか。
ええ〜?
白がノビると?
え? 切れる?
ああ、切れるなあ、確かに。
切れるんじゃあ、白全然ダメですね。
何だこれ。
白はN8のノビを利かして何とかシボリ形ですが、右辺の黒石1個もよく働いてるし、下辺の打ち込んだ白石もまだ弱いし、黒優勢ですね。
つまり、愚形のダメ詰めが、最善手だったってことですか。
へー
あ、でも先生が絞られて石を取るっていうのは結構珍しいです。
白は右辺も下辺も治まりました。
先生は新たに中央経営に乗り出すようです。
かと思ったら、急に地に辛い。
こちらと思えばまたあちら。
まるで牛若丸のようですね。
(わかる人は同年代以上。笑)
上辺をがっちり地にして、後は小ヨセですか。
最後、右下の半コウを黒がツイで、黒の5目半勝ちです。
以前のAIにありがちの、終盤で半目まで緩みまくるようなこともなく、極自然に、まるで人間のように半コウ争いまでやって勝ちです。
もっとも、人間なら読みきって半コウを譲って勝ち、というのもありますが、勝敗に関係なく、損な手は打たない、ということなのだと感じました。
これはつまり、Master先生は勝率だけじゃない何かで着手を選んでいることになります。