ここまで14局について、相当ふざけた記事を書いてきましたが、それなりに碁の流れは見てるつもりですので、今回はその特徴について真面目に感じたことをまとめておきます。
ただし、アマ三段レベルの目線だということで、高段以上の方はご了笑下さい。
1.極端に手抜きが多い
端的なのはツケやノゾキに対する手抜きです。
今までの人間の碁では、ツケられたら大抵手を抜かないとしたものでした。
しかし、Master先生はゆうゆうと無視して他に打ちます。
これは、今までの棋理をベースにして言い換えると、極端に利かされを嫌う、ということでしょう。
相手の言いなりに打つのではなく、より大きいと思える場所に先着してしまい、もし利かなかったことによって被害を被ったとしても、そこは潔く処分して、さらに別の場所で得をします。
ただし、逆の見方をすると、プロが利かそうとした手が実は小さかった、ということにもなりますので、微妙なところではあります。
利かされを嫌っただけなのか、単純に大小判断だけなのかは分かりません。
2.弱い石を守らない
序盤、中盤までの盤上の力関係がそのまま地に直結することはまれです。
自分の石を守るより、相手の弱点をつくことを優先します。
したがって、守らなかった石が取られて、相手の石を取ることが多くなります。
3.石の効率が極めて高い
生きるべき石は相手の攻撃をギリギリのところでかわして生きる。
取るべき石は最小の手数で取る。
この基本的なことがきっちりと実行出来ているように見えます。
つまり、石の戦いにおける読みが非常に正確です。
(分かったようなことを言ってすみません。m(_ _)m)
特に、相手の石を取るときにダメ詰めして取らされるようなことがなく、にらみ殺しとでもいうような、周囲の自分の石の強さによってダメ空きのまま圧死させるような感じです。
4.Master先生の碁は「見合い」の碁
手抜きもそうなのですが、盤面上に様々な不完全な状況を作り出しておいて、その中から最善を選ぶような打ち方です。
つまりこれは、「見合い」の考え方の進化系に見えます。
通常の見合いはAかBかが見合い、というように2つの手のどちらかが打てるので良い、というものですが、Master先生の碁は手抜きなどによって盤上にどんどん不完全な箇所を作り出していき、それら全てを見合いにしているようです。
AIはどんどん形を決める、という評があり、見るまではそう思って居ましたが、実際はそれほど多くないと感じています。
それよりも、圧倒的に手抜きが多いです。
5.カタツキについて
特徴のひとつですが、その意図は私では良く分かりません。
中央経営の足がかりのような感じはありますが、全く役に立たずにそのまま捨ててしまう場合もあります。
強いて言えば、盤面上に作り出す不完全状態のひとつ、ということかも知れません。
6.複雑系だけど必然
結局のところ、部分ではなく常に盤面全体を捉えて、手を決めているようです。
部分の戦いの結果はさして重要ではなく、その結果が全体に及ぼす影響のみが重要。
したがって、人間の目にはあまりに複雑過ぎて、何を考えているのか分からない、ということになります。
人間にとっては複雑系過ぎるのですが、19路という限られた範囲においては、当然の思考と言えるのでしょう。
9路に置き換えると少しはイメージできるような気がします。
以上、現時点での感想です。