Master先生の白番です。

黒はカケツさんです。

サバキはツケから。

この格言は先生もお認めのようで、こういう普通の手が出てくると嬉しいです。

 

カケツさん、先生顔負けの「ツケには手抜き」です。

今までの常識は「ツケにはハネかノビ」でしたが、今後の格言は「ツケにはハネかノビか手抜き」ですね。

それって、要するに何でも良いってことですね。笑

 

右上にかかりっぱなしで、右下へハネ。

この右下、違和感ありますねえ。私が知らないだけなんでしょうけど。

白の形の急所はP4じゃないですか?

素直に黒がR2に押さえていても白はまだ治まらないし、N5の断点も気になるし。

 

黒は右下を無視して左上にかかりましたが、先生はかかりに受けずに右下へ。

いや、かかりには普通に受けて十分でしょう。

何ですか? この右下への執拗なこだわりは。

ひょっとして、手抜き、手抜きで、相手の気持ちを乱す作戦ですか?

盤上での盤外作戦。高度すぎます。

学習しすぎて、とうとう先生は人間の気持ちまでわかってしまったんですかね。

 

手抜かれて悔しいカケツさん、右上にコスミツケましたが、先生はまた手抜きで右辺へ。

1に手抜き、2に手抜き。

とにかく手抜けば良いんですね。

なんだ、囲碁ってメチャ簡単じゃないですか。

相手が何打ってきても好きな所に打ってれば良いだけなんだから。

今度やってみよ〜

 

ここでやっと形の急所ですか。

必ずここに回れるっていう自信があったんですかね。

しかし、右下へのこだわりはスゴイですね。

何としてもここから局面を動かす、という思いを感じますね。

 

さすがカケツさんですね。

右下の黒は味よく形よく中央へ脱出。

先生、何やってるんですか。

右下は攻めが空振り。

今度は白が右辺でシノギに回りました。

 

右辺のシノギで右上隅は黒地になっちゃいましたね。

右辺の白は死ぬようなことは無さそうですが、P12に黒石が来たら黒の壁はスゴイことになりますよ。P12の所を裂いておかなくていいんですかねえ。

 

さて、左上の黒1子が弱いからって、コスミツケですか。

攻めたい石にはつけるなって、級位者の時に習いませんでしたか?

大体、この黒1子が強くなったら、中央から上辺が黒の巨大な地になっちゃいますよ。

この手では上辺から挟んで、黒に左上三々に入ってもらって、中央を自然に荒らすのが良さそうですね。

 

まあ、厳しいんですが、どちらかというと無理手の部類ですよ、これは。

まず左上の白2子の形は弱いですからね。

コスミツケたら1間に開いて自分を守る、というのが常識なんです。

これじゃあF17の黒2子を攻めようったって、上手くは行きません。

さらにP12に黒石が来ると鉄壁だし、右辺の白も苦しくなるし。

その上で上辺に攻められる目標を自ら造るっていうんですからね。

えっとね、先生。

囲碁で最も大切なのは、石の強弱関係なんですよ。

相手の勢力圏では戦わない、これが鉄則です。

どの棋書にも必ず出てくる話です。

あ、先生は棋書読まないから知らないんですね。

 

ほらあ、相手は天下のカケツですよ。

さすがにこれは困ったでしょう。

 

ええ? なんでこうなるのかなあ。

カケツさんの白への攻めが急すぎたんですね、きっと。

まあ、上辺の白は取れるんでしょうけど、さすがにこうなると白が優勢でしょうね。

 

うわ。

そんな手があるんですか?

これはきつい。私なら右上は即死ですね。

 

なんだ、この下がりを先手で決めるためだけだったんですね。

ビックリするじゃないですか、まったくもう。

 

今、黒がG10にノビたところですから、L12とかで中央を小さくしたいところですが、2線にスベリですか。

普通の手ですね。大きいですね。冷静ですね。悔しいですね。

 

これはどうですかねぇ。

ちょっとしつこい感じですよ。

しつこい人は嫌われますが、しつこい手は囲碁では良いんですかね。

手抜かれた所は、意地でも追求する。

囲碁は意地にあり。

 

終局図。黒が投了です。

煙に巻かれた、狐につままれたような、右辺から上辺の攻防でした。