在日ウクライナ人のナザレンコ・アンドリーが、立憲民主党に対する公開状を2024年5月6日付で発しました。

https://x.com/nippon_ukuraina/status/1787005324798623837

 

これは、5月1日、原口一博(衆議院議員)のYouTubeチャンネルにおいて、ナザレンコに対する悪意ある発言があったとすることを立憲民主党に問うもの。具体的には、番組に招待された松田光世(通称「どらえもん」)による発言「ナザレンコ・アンドリーはウクライナ人のCIAエージェントです」「日本で一定の工作活動を、CIAからお金を貰ってやっている人なので工作員です」等を、事実関係を確かめることなく放置し、これをきっかけにナザレンコに対するデマ被害がSNS上で広がった。ナザレンコは、上の発言(ナザレンコ=CIAのエージェント)は事実に反している、と言っています。

 

なお原口議員は、このブログで「ナショナリストYouTuber」として何度か触れたことがある人物です(本人は、“nationalist”という言葉ではなく、“patriot”を使います)。自身の政治経験や闘病経験に基づいて、日本の真の独立、親米保守批判、グローバリズムからの脱却などを唱えています。

 

ナザレンコは、この公開状で立憲民主党本部に対して、以下を要求しました。

 

①私に関して無根拠な偽情報を拡散したことを認め、公式撤回の上、謝罪するよう原口議員に指示すること。

②原口議員に対して情報リテラシーに関する指導を行い、再発防止対策を講じること。

③原口議員が外国出身者や意見の異なる者に対する倫理性に欠けた差別的な言動をやめ、基本的人権を尊重する姿勢を保つよう指導すること。

④原口議員の言動と貴党の方針との整合性を再確認し、今回の件に関する党の正式見解及び予定される対応の説明を文章で私の住所、またはメールアドレス(中略)まで送ること。回答期限は5月20日まで[を]希望しております。

なお、対応がない場合、貴党が原口議員の言動を容認すると見なすしかありません。

 

ほぼ同じ構図の事件として、最近話題になったものがあります。足立康史衆議院議員が自らのYouTubeチャンネルで、ITアナリスト深田萌絵に対して名誉棄損等を行ったとして、深田が提訴した件です(一審は深田が勝訴)。

 

足立康史名誉棄損訴訟 法廷ニュース No.1|深田萌絵 (note.com)

 

ところで、ナザレンコは、なぜ原口議員を提訴しなかったのでしょうか。本当にデマ被害で困っており、原口の対応に怒っているのであれば、深田と同じように裁判で争えばよいのです。そこまで深刻な事態ではないということのようにも思えますが、興味深いのは、上の公開状の④です。

 

「原口議員の言動と貴党の方針との整合性を再確認」「対応がない場合、貴党が原口議員の言動を容認すると見なす」という文言は、両者の不整合を突こうとしているようにみえませんか。その前の③の内容(「倫理性に欠けた差別的な言動」「基本的人権」うんぬん)は、原口の日常的言動からかけ離れた指摘ですが、わざわざ③を入れたのは、立憲民主党の基本姿勢との乖離を際立たせるものです。

 

私が言いたいことは、YouTubeを含む原口の最近の活動が、立憲民主党の支持基盤を保守系に広げていることと関連しています。原口は、反グローバリズムを旗印にワクチン行政・対米従属を批判し、消費税の軽減ないし廃止を主張していますが、これらは立憲民主党主流派の基本姿勢に合致しているとはいえません。しかし、病や貧しさに苦しむ人、保守的思想に共鳴する人に一定の支持を得ていると思われるのです。このことは、保守層に人気のあるYouTubeチャンネル「チャンネル桜」から招かれるようになったことでも明らかです。

 

以上から、原口の現在の活動は、左派と右派の対立というこれまでの構図を、グローバリズムとナショナリズム、あるいは経済的上層と下層の対決という構図に場面転換しようとしていると位置付けられます。左右の構図でいうのであれば、立憲民主党がライトウィングを広げることに、原口の活動が貢献しているともみられるのです。

 

現在の政治情勢は、にわかに自民党と立憲民主党の対決模様となっており、報道では「政権交代」という文字もみられるようになりました。これを背景におくと、ナザレンコの活動は、自らの身を守ることよりも、立憲民主党と保守層を分断して立憲民主党の党勢拡大を抑制すること、ひいては政権交代を阻害することを目的としたものとみえてきます。立憲民主党の執行部はどう処理するのでしょうか。

 

さて、タイトルに掲げた「ナザレンコ・アンドリーはCIAのエージェントなのか?」についてについて、私はまったく答えを持っていませんが、松田光世(どらえもん)によればナザレンコは、統一教会・日本会議などで講演を行い、ウクライナのテロ組織を資金援助(著書の印税を納付)していたとのことです。ナザレンコと松田光世(どらえもん)の今後のバトルに注目です。

 

どらえもん2(@matsudadoraemo1)さん / X (twitter.com)

 

ナザレンコ・アンドリー🇺🇦🤝🇯🇵(@nippon_ukuraina)さん / X (twitter.com)