2020年に始まった日本での一連のコロナ事態を受けて、政府が新たな行動計画を出し、それに対してパブリック・コメントを5月7日まで受け付けています(次のリンク)。現在のところ1万数千点のコメントが寄せられているようです。

 

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)について|e-Govパブリック・コメント

 

なお、これに関する報道として、次のようなものがあります。

 

政府が「誤情報」常時監視 6月にも閣議決定へ 感染症対策の一環で 言論統制の恐れも(楊井人文) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 

このことは、あるナショナリストYouTuberの発言で知ったのですが、その計画をざっと見てみると、言論統制、新薬承認の2点について疑問に思ったものですから、以下のようなコメントを投じました。以下に貼り付けておきます。

 

以下、国民の健康を守るためには情報の共有が大切であるという観点から、
A)情報提供・共有の方針
B)治療薬・治療法
について、懸念点を述べます。

A)情報提供・共有の方針――言論統制の危険性

◆行動計画のp.87「1-1-3. 偽・誤情報に関する啓発」
「偽・誤情報の流布、さらに SNS 等によって増幅されるインフォデミックの問題が生じ得ることから」「各種媒体を活用した偽・誤情報に関する啓発を行う」「科学的根拠が不確かな情報等、偽・誤情報の拡散状況等のモニタリング」を行う、とあります。
これらは、国民のまっとうな懸念を封殺するものであってはなりません。なぜなら、行動計画の「治療法・治療薬」に出てくる通り(p.160)、新たに認可される治療法・治療薬は、「緊急」に「特例」として認可されたもの、すなわち非常に短期間に、手続きをある程度略して認可されたものと想定されるためです。
コロナウイルス感染症をめぐる一連の事態で、国民はさまざまな経験をし、多くのことを知りました。ワクチン接種に疑問を表明したり抵抗したりする人々は、「反ワク」のレッテルを貼られ、マスメディアやSNS等でたたかれました。しかし、ワクチンを打ち始めて丸3年を経た現時点において、どうなったでしょうか。死亡例を含むワクチン由来の健康被害が数千件認定され、薬害訴訟が始まっています。また、ワクチン接種の効果に関する政府の説明は、症状の発生を抑えるはずのものが「重症化を予防する」に変遷し、総括的な報告もなされていません。
国民は、政府が間違う可能性もあると知っているわけですから、政府の施策への反対意見を知る権利があります。その権利を都合で侵してはなりません。

◆行動計画のp.90~p.91「2-3. 偏見・差別等や偽・誤情報への対応 」
この中に「SNS等のプラットフォーム事業者が行う取組に対して必要な要請や協力等を行う」とありますが、言論統制と受け取られかねない行政行為はやめていただきたいです。
医者や研究者の間でも、コロナウイルスやワクチンに関してさまざまな意見があり、何が「科学的」で「偽・誤情報」であるかは、簡単に決められるようなものではありません。政府の方針が誤る可能性があることは、これまでの多数の薬害訴訟の歴史を見れば明らかです。
にもかかわらず、コロナウイルス感染症の扱いが平時に戻った現在においても、依然としてプラットフォーマーの代表であるYouTubeが動画の一方的な削除を続けているのは異常だといえます。同サービスのこのようなやり方に対しては、国会議員を含む多数のサービス利用者が強烈な不満を抱いており、その不満には正当な理由があると思われます。しかし、同サービスは市場において独占的な地位を得ているために、しょうがなくそのルールに従っているのです。この行動計画は、このような業者による言論統制を行政が助長することにつながりかねません。
ですから、国が協力要請行為を行った場合は、「なぜ、誰に、いつ、何を」要請したかを国民に明らかにすべきであると考えます。

B)治療薬・治療法――薬害と情報公開
◆行動計画のp.153「1-3. 必要な薬事規制の整備」
新しい感染症の「緊急性に鑑みて」「柔軟に」規制を緩めるということですが、そのための条件について触れられていないのは疑問です。緊急性に対して政府がどう判断したのか、治験はどう行われ専門家はどう評価したか、など、新しい治療薬・治療法が「柔軟に」認可されるための条件を明記する必要があると思います。というのは、もし薬害が不幸にして起こった場合、その責任をどう検証するのか、という点に関わるからです。薬害を無責任に免除する行動計画であってはなりません。

◆行動計画のp.160「3-1-6-2. 治療薬・治療法普及後のフォローアップ 」
「治療薬による副作用被害が発生している場合は、関係機関と連携し、副作用被害に対する救済措置を適切に実施する」とあります。
副作用被害が生じた場合、国は、速やかに国民等に周知することを明記していただきたいと思います。コロナ薬害については、政府とプラットフォーマーの言論統制により、国民が深刻に受け止めるのが遅れたのではないかと疑われるからです。こんな事態になっているとは訴訟が始まるまで知らなかった人も多いのではないでしょうか。

以上、情報共有と治療薬・治療法の認可について懸念を述べてきました。コロナウイルス感染症事態に対して、政治・行政のリーダーや現場で任務に当たる人が一生懸命働いたことを国民は知っています。しかしその傍らで、薬害や社会的孤立に苦しむ人があったこと、一方では国内外で莫大な利益をあげた人や会社がいることも国民はよくわかっているのです。どうか、国民のための行政、国民のための行動計画となることを願います。