10月5日に埼玉県営大宮球場で行われた高校野球秋季埼玉大会の準決勝、花咲徳栄高×浦和学院高の観戦記です。
4強が出そろった秋季埼玉大会、勝者に来春のセンバツ出場につながる関東大会への出場権が与えられます。その準決勝の1試合目は近年の埼玉県の高校野球界をリードする学校の対戦になりました。
この夏に5年連続の夏の甲子園出場を果たした花咲徳栄高。2017年には埼玉県勢として初めての夏の選手権全国制覇を果たし、ブルーの帽子とアンダーシャツのユニフォームは全国でもすっかり御馴染みになりました。
対するは2013年に春のセンバツを制した浦和学院高。南北分離開催だった昨年は花咲徳栄と別地区だったため甲子園出場を果たし8強入りしましたが近年では徳栄に押され気味、ここで徳栄を倒して巻き返しを図りたいところです。
準決勝ではもったいない好カードですが関東大会出場権をかけた厳しい試合になりそうです。
<スタメン>
徳栄は7回、8回と得点圏に走者を進め反撃に出ますが、浦学先発の美又が踏ん張り得点を許さず、試合は1-0のまま最終回へ。
9回表、浦学先発美又は先頭打者を打ち取り1アウト。しかしここから徳栄が粘りを見せます。4番井上がショートへの執念の内野安打で出塁すると、美又の制球が乱れ連続四死球で1死満塁までチャンスを広げます。
ここで7番栗島がセンターへ犠牲フライを打ち上げ、徳栄がついに同点に追いつき試合は延長戦に入ります。
延長に入って10回表、徳栄は浦学2番手三奈木から1死後1番南がレフトオーバーの二塁打を放つと、ヒットと四球で再び1死満塁のチャンスを作り打順は4番の井上。
井上はきっちりライトへ犠牲フライを打ち上げ、3塁走者が生還。この試合初めて徳栄がリードを奪います。
その裏浦学は先頭の樋口がヒットで出塁しますが、次打者の強行策が裏目に出て徳栄の併殺網にかかり万事休す。最後の打者も三振に討ち取られライバル校対決は徳栄に軍配が上がり関東大会への出場権を手にしました。
<注目選手など雑感>
徳栄が驚異の粘りで接戦を制し、ライバル浦学に競り勝ちました。
決勝の犠飛を放った4番の井上はこの試合は長打こそなかったものの2安打1打点をマークしきっちり自分の仕事を果たしました。
1年生時からレギュラーを務め、2度の甲子園を経験しているスラッガーも最上級生となりその経験をもとにチームを引っ張り関東大会でセンバツの出場権を勝ち取ってほしいですね。
徳栄打線では1番の南が2本のレフトオーバーの二塁打を放ちパンチ力のあるところを見せ、核弾頭の役割を果たしました。南が出塁し、井上が返す得点パターンを確立させたいですね。
投げては夏の甲子園のマウンドも経験した高森が10回1失点の完投勝利。
球速はありませんが制球よく丁寧に投げ込む投球で浦学打線に的を絞らせませんでした。今夏の甲子園の明石商戦では決勝点を奪われ負け投手になりましたが、その悔しさを晴らすためにも関東大会で4強以上を目指したいですね。
敗れた浦学は決勝進出まであとアウト2つまでこぎ着けながら、徳栄の粘りに屈した形になってしまいました。
先発の美又は130キロ台後半のストレートを軸に走者を背負いながらも粘り強い投球で持ち味を発揮しました。
美又の好投を援護したかった打線ですが徳栄の高森の前に自分たちの打撃ができていない印象を受けました。唯一の得点となった好走塁を見せた樋口は2安打を放ち、守備も安定。何よりも徳栄守備陣の一瞬の隙をついての好判断は野球センスを感じさせられました。
センバツ出場の可能性は絶望的になりましたが、美又・三奈木の投手陣はしっかりしているので打線を強化して夏を目指してほしいと思います。
花咲徳栄高0000000011=2
浦和学院高0000100000=1
【延長10回】
(花)○高森-小林
(浦)美又、●三奈木-吉田(瑞)
【二塁打】(花)小林、南×2