イメージ 1
6月13日に明治神宮球場で行われた全日本大学野球選手権大会準々決勝、東北福祉大×佛教大の観戦記です。
昨年のこの大会の王者、東北福祉大。連覇を狙う今大会の初戦は創価大との投手戦を山野ー津森の完封リレーで1-0で競り勝ち準々決勝に進出しましたが打線が2安打と湿っているのが気がかりです。
対するは京滋大学連盟代表の佛教大。1回戦の八戸学院大戦で9回裏0-3の劣勢から逆転サヨナラ勝利を収め勢いに乗り、1991年以来の8強進出となりました。大学だけでなく京滋大学野球連盟としても初めての4強進出を狙います。

<スタメン>
【先攻:東北福祉大】
①レフト   里見
②セカンド  永濱
③ファースト 生沼
④センター  清水
⑤ショート  元山
⑥DH    増田
⑦サード   楠本
⑧キャッチャー岩﨑
⑨レフト   柿崎
先発ピッチャー山野(写真下)
イメージ 2
【後攻:佛教大】
①レフト   八木
②セカンド  前田
③ライト   野嶋
④ファースト 石井
⑤センター  木岡
⑥キャッチャー坪倉
⑦DH    吉村
⑧サード   森本
⑨ショート  唐澤
先発ピッチャー中山(怜)(写真下)
イメージ 3
東北福祉大は昨年の優勝メンバー清水、元山、岩﨑らがスタメンに名を連ねます。先発の3年生左腕山野はリーグ戦、今大会の初戦通じて42イニングで防御率0.00と抜群の安定感を見せています。
対する佛教大の選手たちの予備知識はありませんが4番の石井は2回戦の愛工大戦で本塁打を放ち「大尊(たいそん)」という名前から新聞でも取り上げられていました。どんなプレーを見せてくれるでしょうか?

<試合概況>
東北福祉大・山野、佛教大・中山(怜)の両先発投手の好投でグラウンド整備の行われる5回終了までスコアレスの展開となります。
均衡が破れたのは6回表、東北福祉大は死球とヒットで作った1死2・3塁のチャンスに4番清水がレフトスタンドに叩き込む3ラン本塁打を放ち、一気に3点のリードを奪います。
イメージ 4
イメージ 5
このリードを先発山野が6回無失点に封じ、7回からは守護神、プロ注目の津森を投入し完全に東北福祉大の勝ちパターンになるかと思われました。
イメージ 6
しかしこのプロ注目右腕に佛教大打線が襲い掛かります。
7回裏津森の代わり端、8番森本の適時打で1点を返します。
イメージ 7
続く8回にも3番野嶋、4番石井の連打でチャンスメイクすると5番木岡が外角のボールをうまく拾いレフト線への適時三塁打を放ち、佛教大が同点に追いつきます。
イメージ 8
イメージ 9
こうなると試合の流れは完全に佛教大へ傾き、続く9回にも先頭の八木がこの試合3本目のヒットで出塁すると2番前田の犠打がエラーを誘いチャンスを広げると3番野嶋がきっちり犠打を決め1死2・3塁の場面で打順は4番の石井。
この場面で石井はスクイズを決行、福祉大津森が懸命に本塁へトスしますが間に合わず佛教大がサヨナラ勝ち、前年王者を倒し大学としても連盟としても初の4強にコマを進めました。
イメージ 10
イメージ 11
イメージ 12

<注目選手など雑感>
佛教大が1回戦に続いて3点のビハインドをひっくり返し、東北福祉大の連覇を阻みました。
プロ注目のサイドハンド津森に対し、左打者が6安打を浴びせ見事に攻略しました。
8回の同点打を放った5番の木岡はセンターから逆方向への打球を飛ばし3安打。
イメージ 13
9回のサヨナラのきっかけを作った1番八木もしっかりコンタクトをして3安打とチャンスメイクをしました。
イメージ 14
大物打ちがいるわけではありませんがしぶとい打撃と6つの犠打を決めた手堅い攻めが今大会での躍進につながったと思います。
この逆転勝利を呼び込んだのは7回から3イニングをほぼ完ぺきに封じた2年生左腕の木下。
イメージ 15
1回戦でも0-3のビハインドからリリーフし逆転を呼び込み、この試合で今大会2勝目をマーク。続く準決勝でも3点のビハインドからリリーフに立つとチームが逆転し3勝目を挙げ、まさに「逆転を呼ぶ男」「ラッキーボーイ」的な活躍で最終的には敢闘賞を受賞しました。
運だけではなく140キロ前半から後半の直球を軸にテンポの良い投球が打線に好影響を及ぼしたのではないかと考えます。
佛教大は上述の通り東海大との準決勝でも3点のビハインドを逆転し決勝進出、決勝は明治に敗れましたが見事な準優勝でした。関西の大学野球連盟の中でも影の薄い存在だった京滋大学リーグの名を高める大活躍でした。秋も期待したいですね。
敗れた東北福祉大はこの試合も4安打と湿った打線の不調とリリーフ津森の誤算が響きました。
そんな中では先発の山野が6回被安打4の無失点と好投。
イメージ 16
この試合も無失点で結局春はリーグ戦、選手権大会通じて48イニングで防御率0.00を達成しました。172cmと上背はありませんが140キロ台中盤の直球を中心にした投球には力強さがあり下級生時から経験を積んできたことも大きく、今後の活躍次第で来年のドラフト戦線に上がってきそうな左腕です。
一方で4年生の津森は2回1/3で4失点と佛教大打線に捕まってしまいました。
イメージ 17
しかしサイドハンドから140キロ台中盤~後半を計測する直球は魅力的でラストシーズンに向けてこの試合で課題となった左打者対策に磨きをかけ、さらに成長して秋のシーズンを迎えてほしい楽しみな投手だなと思いました。

東北福祉大000003000=3
佛教大  000000121X=4
(福)山野、●津森ー岩﨑、笹谷
(佛)中山(怜)、○木下ー坪倉
【本塁打】(福)清水
【三塁打】(佛)木岡

イメージ 18