真蛸 (マダコ Octopus vulgaris)兵庫県播磨灘/明石湾
関西地域では古来より縁起の良い食料資源として数多の文献に登場するタコ 日本国内で食用とされるタコは殆どがこの“真蛸”です しかしながら近年漁獲減による価格高騰で 国内産真蛸は高級食材として扱われる様になりました ボイルされているものやタコ焼きに入っているタコは100%外国産の輸入品です
活け(生きている)タコは 写真のように水槽でネットに1匹ずつ匿われた状態で販売されています
後述しますがタコの墨はイカ墨と違い食用に不向きなため 他の魚に影響を及ぼさない様にとの配慮です また水温に敏感で 死んだ後の身締りが早いため“造り用”の活けタコは河岸でも予約制の購入です
兎に角 一番難敵な墨を排除する意味で 先ず胴部(頭)を切り離します ぬめりが凄いので軍手必需
頭部が離れても 活きの良いタコは暴れます 片手でしっかり押さえながら米糠で丁寧にぬめりを落とします 塩で掃除するといっぺんに鮮度が落ちてしまうのでここでは使用しない事
米糠掃除後のタコ ここから先ず造り用に腕部(足)を捌いていきます
タコ引き包丁で疣皮(いぼの部分)をへいで上身の状態に 上身は濡れ布巾で保管します
タコは醤油と相性が良く綺麗に発色するので 疣皮は水を用いず醤油だけで火通しします
割鮮 活蛸枌造り
加味(醤油や岩塩等)は無しで そのままで活蛸の風味と淡い塩味を愉しんで頂きます 疣を添えて
白身の造りでは最も上品とされる活蛸 弾力ある歯応えと柔らかい磯の風味は逸品です
胴部(頭)は裏返し 墨袋を傷つけない様丁寧に取出した後 切開き内臓含め掃除します
断面図 雄蛸は白子を内包し(写真) 雌蛸は卵巣を内包しています
腕部同様 胴部も殆ど筋肉で形成されているので 大根で下叩きし 柔らかくして蛸しゃぶに用います
しゃぶしゃぶ鍋用に切出し こちらは疣皮をつけた状態で腕部をそいでいます
生食でも美味ですが 昆布湯にさっと潜らせて割ぽん酢などで食感を楽しむのがおすすめです
蛸しゃぶ鍋はまた別項にて