目次
1.国立・私立大学医学部の多浪の入学状況
◎国公立大学
◎私立大学
2.多浪に寛容な国立・私立大学医学部情報
◎国公立大学医学部ランク
◎私立大学医学部ランク
3.医学部入試で多浪しないための予備校選び
◎慶応進学会フロンティア~医学部多浪支援プログラム~
4.医学部入試で多浪しない宅浪の勉強方法
◎メリット・デメリット
5.医学部多浪でつきない悩みは?
◎悩める多浪生へアドバイス
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1.国立・私立大学医学部の多浪の入学状況
学生や予備校生だけでなく、社会人にも医者を目指す人が増えていますが、医学部受験で多浪はどのくらいいるのでしょうか?
まず、最難関と言われる国立大学について調べたデータがあります。
2010年の文部科学省「学校基本調査(高等教育機関編)」によれば、その年の春の国立大学医学部医学科の入学者数は4,380人で、そのうち現役が43.7%、1浪が29.1%、2浪が10.7%、3浪以上の多浪が15.8%、その他が0.7%でした。
現役合格者が4割以上いますが、国立大学医学部入学者では多浪を含めて浪人経験者が過半数を占めます。
データによれば、国立大学医学部の入学者数は32年間だいたい4,000人前後で推移しています。
国立大学で医師を養成する学部ですから、定員管理をしっかりしているのだと思います。
そのため、毎年受験競争は熾烈で、いずれの年でも入学者の過半数を浪人経験者が占めています。
3浪以上の多浪生が、つねに1~2割を占めているのが国立大学医学部の特徴です。
国立大学全体の入学者数で現役、浪人生の割合を示すグラフと比較すると、浪人生の占める割合が医学部だけ突出しているのが分かります。
親が開業医ではない、一般の家庭の受験生は経済的な問題で、国公立大学の医学部を志望することが多いです。
私立大学医学部生の約9割の親が開業医という話もあります。
では私立大学医学部の状況はどうでしょうか?
私立大学医学部の2浪以上の入学率ランキングなるものがあります。
私立大学医学部は昔から入試結果について情報公開をしないところが多く、受験生の間でさまざまな噂があります。
あくまで公開されているデータから2浪、3浪以上の多浪の入学率をランキングしています。
1位は杏林大学医学部で2浪が22.9%、3浪以上の多浪が41.8%で2浪以上の合計が64.7%と断然トップです。
2位は久留米大学医学部で2浪が24.1%、3浪以上の多浪が28.5%で2浪以上の合計が52.6%です。
3位は兵庫医科大学で2浪が27.9%、3浪以上の多浪が23.7%で2浪以上の合計が51.6%です。
国立大学では現役と1浪を含めると7割を超えていたので、私立大学の方が多浪生にとっては合格の可能性が高いと言えます。
また、私立大学医学部では、入学者の半数以上が補欠の繰上げによる合格者という大学が少なくありません。
それだけ正規合格が難しいわけですが、毎年2~3大学の補欠を持ちながら多浪をする人もいます。
補欠の繰上げによる合格は国立大学の合格発表後で、難関国立大学と上位の私立大学を併願した受験生が、難関国立大学合格後、上位の私立大学の補欠を譲り、上位と下位の私立大学を併願した受験生が下位の私立大学の補欠を譲るという順に決まります。
偏差値が高い受験生から補欠繰上げ合格が決まり、偏差値が低い受験生は3月末までは入学できるのか気を揉むことになります。
では実際に3浪後、心臓外科医として活躍している冠動脈オフポンプ・バイパス手術の第一人者、天野篤さんから受験生に向けてのお話を紹介します。
3浪後、日本大学医学部に入学したので、いわゆる勝ち組ではないですが、受験の勝者が必ず人生の勝者になれるわけではないと自分の体験から伝えられます。
医者を志したきっかけは高校2年生の時に父が発作で倒れ、その後の検査で心臓の病気と分かり、「父を何とか助けたい」という思ったことです。
しかし、受験勉強には身が入らず、受験直前の12月頃から過去問を始めたくらいで、受験願書を出したら、どこか合格するだろう位の気持ちでした。
2浪まで1日の勉強時間は2時間ぐらいですぐに飽きることを繰り返し、私立大学医学部の筆記試験は合格しても、面接試験で落ち、自分より点数が低い人が医学部に合格するのを経験しました。
浪人生活が長くなり、周りの受験生が大学生になるのをまぶしく感じるようになりましたが、医学部を諦めようとは思いませんでした。
浪人生活が長くなるほど医学部に合格するという思いは増して行き、父親の心臓の病気が徐々に悪くなっていたことも影響しました。
3浪の夏から意識が変わり、ラジオの深夜放送を聴きながら、猛勉強を始め、24時間勉強して12時間寝たり散歩したりという生活サイクルを繰り返しました。
得意科目の数学や理科だけ勉強して苦手科目は勉強しませんでしたが、大学ごとの出題傾向を情報収集し、何とか日本大学医学部に合格しました。
受験勉強ではひらめきで解くような問題より、順を追って答えを導き出すような問題が好きで、それは現在の患者さんの診断にも生きています。
目の前の患者さんの生体情報から、どのように診断を組み立てて行くかが医療者に問われます。
大学受験は一回のチャレンジでくよくよする必要はなく、医者として医学を追求しようと思えば、大学受験でなく、その後医療の現場でどれだけ研鑽したかで決まるので、受験生には「心を折るな」と伝えたいです。
2.多浪に寛容な国立・私立大学医学部情報
医学部受験は他の学部に比べて現役合格が少なく、2浪以上のいわゆる多浪の割合が高くなっています。
多浪生は面接で社会人経験を評価してもらえる場合もありますが、年齢が高いということで不利になる場合もあります。
医学部合格を勝ち取るには、志望大学選びで情報を集めることが重要です。
あなたが現在高校1~2年生であれば、推薦入試という選択肢もあります。
学校で成績を上げて、校内で推薦をもらえるレベルになることは、一般入試で医学部に合格するより、ハードルは低いです。
高校3年生であれば、地元の県の大学の医学部の方が、現役生でかつ県民の受験生に寛容なので有利です。
では、再受験や多浪の受験生に寛容な大学はあるのか?ということが気になります。
ここで考えたいのは、再受験や多浪の受験生に「寛容度」が高いからといって、再受験や多浪の受験生の合格者が多いとは必ずしも言えないことです。
特に国公立大学医学部の場合、「寛容度」の他に「難易度」の観点があり、再受験・多浪入学者数=差別なしの再受験・多浪合格者数×寛容度になると考えられるという指摘があります。
国公立大学医学部の上位校は現役有利で、差別なしの再受験・多浪合格者数がやや低く、寛容度は高いので、必ずしも再受験・多浪入学者数が少ないわけではないという結果になるという分析ですね。
つまり、寛容度は偏差値レベルが低いことを表わしているわけではなく、再受験や多浪生に受験の門戸を開いている、不利にはならないという意味です。
参考になるのが2012年度再受験多浪差別に寛容な大学別ランクで、国公立大学医学部、私立大学医学部に分かれています。
◎国公立大学医学部ランク
東京大学、名古屋大学、新潟大学、山梨大学、岐阜大学、滋賀医科大学、岡山大学、徳島大学、九州大学、熊本大学がトップ10に入っています。
東京大学、名古屋大学、新潟大学、山梨大学、岐阜大学、滋賀医科大学、岡山大学、徳島大学、九州大学、熊本大学がトップ10に入っています。
◎私立大学医学部ランク
東海大学、杏林大学、東邦大学、帝京大学、藤田大学、近畿大学、日本大学、日本医科大学、昭和大学、愛知大学、関西医科大学が続きます。
各大学の再受験受入れ状況を元に作成したランキングで、あくまで参考にして下さい。
私立大学では面接を実施していないとか、面接はあってもよほどのことがない限り、不利にならないとか、年齢相応の社会性がある30歳前後まで受け入れ可能という基準になっています。
国公立大学医学部は難易度の点で現役有利の傾向はありますが、国公立大学だけあって再受験や多浪生に寛容な大学は多いようです。
しかし、多浪生の入学率で見ると、私立大学医学部が寛容であることが分かります。
2浪以上の多浪生の全体に占める入学率をランキングしたデータによれば、
1位は杏林大学で64.7%、
2位は久留米大学で52.6%、
3位は兵庫医科大学で51.6%、
4位は藤田保健衛生大学で51.0%、
5位は岩手医科大学で50.3%、
6位は日本大学で46.4%、
7位は聖マリアンナ医科大学で46.0%、
8位は愛知医科大学で44.0%、
9位は関西医科大学で42.1%、
10位は産業医科大学で42.0%と、
上位5位が過半数を超えています。
1位は杏林大学で64.7%、
2位は久留米大学で52.6%、
3位は兵庫医科大学で51.6%、
4位は藤田保健衛生大学で51.0%、
5位は岩手医科大学で50.3%、
6位は日本大学で46.4%、
7位は聖マリアンナ医科大学で46.0%、
8位は愛知医科大学で44.0%、
9位は関西医科大学で42.1%、
10位は産業医科大学で42.0%と、
上位5位が過半数を超えています。
この中で杏林大学医学部と日本大学医学部についてのレポートを紹介します。
1位の杏林大学医学部の入試問題はマークシート方式で小論文の問題文は短く、面接官2人による個人面接のみで、あまり難しい質問はされません。
年齢差別は全くなく、完全に学力テストの点数のみで勝負できるため、再受験や多浪生の受験者が多数を占めます。
受験情報についてもネットで公開するなど、入試はオープンでクリーンに行っています。
杏林大学に関する口コミ情報から紹介します。
クリーンな入試をしている医学部として真っ先に名前が挙がる大学で、補欠番号を公開し、年齢や性別による差別がなく、裏入学もないと言われます。
再受験や多浪生の入学が多いのは数字に表れているし、女子枠があるという話も聞かれます。
実際、入学者に占める女子数が男子数を上回った年もあったそうです。
一次試験の採点の比重が高いため、一次試験を通れば、合格の可能性は高いようです。
杏林大学医学部はランキング通り、多浪生にとって寛容な大学と言えそうです。
6位の日本大学医学部の理科はマークシート方式、英語、数学は記述式で、ほぼ標準問題で構成されています。
面接官2人による個人面接が2度あり、1回目は志望理由、2回目は医療に関することを中心に質問されます。
年齢差別は殆どなく、圧迫面接はありません。
日本大学に関する口コミ情報から紹介します。
日本大学医学部は関連病院が多く、研究分野でも世界クラスのため、医学界での力が大きいので、将来医師として活躍するための人脈づくりに役立つようです。
医学系学部は他の学部と異なり、偏差値が高いことが必ずしも医学界で力があるということではないということですね。
日本大学の場合、試験問題は割合簡単で差がつけられないため、面接と小論文が重視されるという情報があります。
3.医学部入試で多浪しないための予備校選び
国公立大学医学部合格者を多く出している名門高校の生徒でも、高校の勉強だけで医学部に合格できる生徒はごく少数で、多くは塾や予備校に通いながら、志望大学の医学部合格を勝ち取っています。
医学部専門の予備校もあり、医学部入試に特化したカリキュラムになっているので、効率の良い勉強ができます。
予備校を選ぶ時に必要なのは、国公立大学医学部を志望するのか、私立大学医学部を志望するのかを決めることです。
国公立大学医学部を志望するなら、センター試験対策の延長で基礎学力を高める学習が必要ですし、私立大学医学部を志望するなら、学校ごとに入試問題の特徴があるので、過去問題から出題傾向や解答の仕方についてしっかり分析しなければなりません。
私立大学医学部の場合、面接試験も多いので、その対策も必要になります。
私立大学医学部が第一志望なら、志望大学の医学部の合格実績が高い予備校を選ぶと良いでしょう。
その上で予備校選びに失敗しないために、まず、自分に合う予備校を見極めることです。
医学部予備校には様々なタイプがあり、1人1人の学力や志望校に合わせたマンツーマンの個別指導、同じレベルの受験生と共に学ぶ少人数クラスや集団授業、夜間授業を行う、全寮制で時間を問わず指導を受けられるなど、授業タイプや指導体制など予備校によって色々あります。
自分に合う予備校と言っても色々なタイプから選ぶのはピンと来ないかも知れません。
ポイントは自分の性格や適性を考えて授業スタイルを選ぶことです。
「マイペースで勉強したい」「集団授業だと落ちこぼれるのではないか」「周りの受験生と比較されたくない」という人は個別指導が向いています。
「志望大学が同じ受験生と競いながら勉強した方が、モチベーションが持てる」という人は少人数や集団授業のクラスにすると良いでしょう。
個別授業と少人数クラスを組み合わせたコースがあれば、人数が多くて先生に質問しづらくなることもないですね。
また、少人数の受験生を手厚く指導して合格実績を誇る小規模な予備校、充実した設備で勉強に専念できる環境とサポートを行う大手予備校など、予備校の規模によって指導方針が異なることもあります。
よく学費や合格実績が予備校選びの判断材料に挙げられますが、どんなに学費が安くても合格実績が高くて有名でも、自分に合わない指導方法の予備校に通い続けても、学力アップは望めず、まして合格することは困難です。
学費の安い予備校に行っても、医学部に合格できずに2浪、3浪と多浪生になってしまうと、結果的に学費が高くなり、ムダな時間を費やすことになります。
自分が目指す志望大学医学部に合格するために、予備校を選ぶのですから、学費や合格実績の数値に惑わされず、自分の基準で合う予備校を選んで下さい。
受験までの大事な時期に通うのですから、学習環境は入念にチェックしておきます。
例えばいつでも質問しやすい環境が整っているかどうかは大切です。
分からない箇所をそのままにして学習を進めると、その後の学習でつまづいてしまいます。
授業中や自習中に疑問点や理解しにくい問題があった時に、いつでも質問できる環境であることはポイントです。
自分の得意・不得意、適性、現在の学力を担当講師が理解し、1人1人に合わせた学習方法や志望校選択のアドバイスを行ってくれるかも大事なポイントです。
入学説明会や体験会を利用して、実際に通うことになった場合の設備や雰囲気などをチェックしておくと良いでしょう。
医学部予備校の中には3浪以上の多浪生向けプログラムのある予備校があります。
慶応進学会フロンティアの「医学部多浪支援プログラム」で、合格保証制度を設けています。
志望大学に合格できることを約束し、受験結果に満足できずに翌年度も慶応進学会フロンティアで再挑戦する受験生には同じコースの授業料を全額免除する制度です。
条件として面談で決定した志望校3校以上の受験、前期・後期授業の9割に出席、各種テストを受験し、課題を提出することがあります。
医学部の受験生には多浪生が多く、3浪以上も珍しくありません。
慶応進学会フロンティアでは過去30年間の指導で浪人生の受験を成功させてきた経験から、独自のプログラムを作り上げ、多浪生の志望校合格を全面的にバックアップしますので、医学部多浪生には心強い予備校です。
「指導内容は厳しいけれど、面倒見が良い」というのが慶応進学会フロンティアの評判で、完全定員制20名の少人数制によるきめ細かな指導で、万全のサポート体制を誇ります。
偏差値40程度の受験生を、14ヶ月で医学部合格レベルの実力を身につけさせる独自のプログラムや、センター試験で95%の高い得点率を目指せる集中講座などを実施します。
遠方で通学が厳しい受験生には通信制コースを併設していますし、全寮制で1年間入寮して受講するクラスもありますのであらゆる環境の受験生に対応しています。
4.医学部入試で多浪しない宅浪の勉強方法
国立大学医学部医学科の合格者の内訳は、現役は4割強で、1浪から2浪以上の多浪を含めた浪人経験者が5割以上を占めています。
私立大学医学部では大学により異なりますが、2浪以上の多浪が6割を超えている大学もあります。
言い換えると医学部受験は、多浪してでも医者になりたいという強い気持ちのある受験生が合格しているということだと思います。
2年、3年と続く受験生活でどうモチベーションを維持して行くかは大きな問題です。
多くの医学部受験生は現役の頃から塾や予備校に通う人が多いですが、通学時間や学費がかかるというデメリットがあります。
そこで宅浪という選択肢もあるのですが、これは向き不向きがあります。
宅浪のメリットとしては通学時間や学費をかけずに勉強できること、そのため勉強効率が良いことがあります。
その反面、分からない問題があった時に自分で解決するしかなく、新しい分野の理解が遅れて、勉強のペースが予定通り進まなくなることがあります。
また、周囲に競い合う受験生がいないのでモチベーションを維持するのが難しいというデメリットがあります。
特に自分の勉強方針を立てられない人は、ある程度指針を示してくれる予備校の方が向いていると思います。
ただ、予備校は自分が理解している分野の問題を時間をかけて授業されることもあるので、勉強効率が良いとは限りません。
特に理系大学卒の再受験生の人や多浪生にとって、学費や交通費を負担している分、メリットが感じにくいかも知れません。
予備校にしようか宅浪にしょうか迷っている受験生は、両方のメリットを最大限活かしてデメリットを減らすために、2つの方法が考えられます。
1つは予備校をメインに勉強する方法です。
つまりすべて予備校で勉強するわけではなく、苦手な分野は家庭教師や個別授業で補い、分からない問題は予備校で質問するようにし、それ以外は参考書で調べるようにすることです。
多くの大手予備校には大学生が受験生の悩みや授業の分からないことを教えてくれるチューター制度があり、予約して利用することができます。
授業が終わった予備校講師に質問もできますが、学力が伴わずに分からないことが多く、質問時間が長くなると最後まで付き合ってもらえる保障はなく、人気講師であれば順番待ちのこともあります。
そこで家庭教師や個別授業を利用し、定期的に勉強を見てもらい、分からないところや苦手な分野をフォローしてもらいながら、他の受験生と競い合える環境の予備校でみっちり勉強します。
学費は多少嵩みますが、自分の弱点を克服しながら勉強時間を効率よく進めるには良い方法だと思います。
もう1つは宅浪をメインに勉強する方法です。
宅浪のデメリットは分からないところをそのままにしてしまう恐れがあること、受験に必要な勉強をしているのか判断がつきかねて、間違った勉強法になってしまう場合があること、モチベーションを維持しづらく勉強に身が入らないようになる場合があるということです。
宅浪のデメリットを防ぐためにはレンタル自習室を使用するか、定期的に個別指導を受けたり、家庭教師に教えてもらったりするのが良いと思います。
レンタル自習室は有料ですが、公共図書館の自習室を使用できれば無料で使用できます。
他にも宅浪の受験生が多く利用していると思うので、勉強するモチベーションにはなるはずです。
個別指導や家庭教師に定期的に教えてもらうことで、分からないことをそのままにしないことと、受験勉強の軌道修正をしてもらうことができます。
実際に宅浪で私立大学医学部に宅浪で合格した受験生の実体験によれば、完全宅浪は精神的負担が大きいので、お勧めできないそうです。
しかし、医学部専門予備校は学費が高額で、家族に医者がいるという家庭ならまだしも、普通のサラリーマン家庭で育った人であれば、かなりの負担になります。
特に私立大学医学部コースは国公立大学医学部コースより授業料が高めです。
宅浪で私立大学医学部に合格した受験生は、ネットで勉強法を探して、自分と同じように宅浪で医学部に合格した元受験生のサイトを見つけ、そのサイトの管理者とメールのやり取りをしながら、宅浪時代を支えてもらったそうです。
一般的には医学部受験で宅浪をしていると多浪生になってしまうのではないかというイメージを持たれがちですが、ネット情報などを上手く活かして宅浪生活を乗り切り、合格を手にしている人は少なくありません。
実家が農家で私立高校から宅浪で1浪し、私立大学医学部に合格した男性は、生活リズムに気をつけて勉強することを心がけています。
一概に言えないかも知れませんが、実家がサラリーマンや農家など家族に医者がいない環境から医学部合格を目指す受験生には、多浪を含めて浪人生が多いようです。
医者を目指すには経済的な面でも恵まれた環境ではないので、宅浪を上手く活かして多浪にならないように勉強の仕方に工夫が必要ですね。
5.医学部多浪でつきない悩みは?
医学部入試は他の学部に比べて現役合格するのが難しく、1浪はフツーで2浪、3浪以上の多浪も少なくありません。
それでも周りの同期の受験生がだんだん少なくなっていくと気持ちが不安になりますし、焦りや悩みが大きくなって来ます。
医学部入試で多浪の不安を抱えている受験生の悩みにどう応えて行けば良いでしょうか?
国立大学医学部を目指して4浪目の男性は、今になって4年間も多浪を続けていることに後悔し始め、悩みが大きくなりました。
小さい頃から医者になりたいという夢があり、国立大学医学部を目指したのですが、まさかの4浪という多浪生活。
支えてくれる両親に感謝はしながらも、ここまで多浪生活になるとは思わず、通っている予備校の講師によれば、今年はどこかの国立大学医学部には合格できると思うよと言われても半信半疑の状態です。
3浪目は宅浪で、医学部以外、私立大学にも出願していなかったので、4浪しかない状況でした。
さすがに4浪目となると、色々迷いが出てきて、現役の時に医学部以外で合格した私立大学に行けば良かったかなとか、医者になるだけが全てではないと考え、来年はセンター試験を利用して獣医にするか、国際教養か商学部のある早稲田大学に出願しようかと思っています。
それでも大学卒業の年齢を考えると、就活で不利になることは間違いなく、どうして早く見切りをつけられなかったのかと過去のことを考えて、クヨクヨ悩み続けています。
多浪生活を続けてもし、ダメだったらと思うと専門学校に行って資格重視で行った方が就職には良いのではないか、医学部の面接を受けて、多浪差別を受けるのではないかと悩みがつきません。
彼の場合、3浪目は宅浪だったので、よけいに孤立感を感じているのかも知れませんね。
しかし、すでに来年の入試に向けて受験勉強を再開して行かなければならない時に、いつまでも受験についての考えが決まらず、悶々と過ごすのは良くありません。
大学受験応援サイトに投稿した国立大学医学部多浪生の悩みに、進路指導の担当者がアドバイスをしています。
かなり手厳しいアドバイスですが、将来、医者になるかも知れない受験生への叱咤激励だと思ったので紹介します。
この多浪生活を反省できていれば、それはこれからの糧になるし、長い人生のプラスになるはずで、後悔しか残っていない思い出は、反省したら後は忘れてしまうこと!だそうです。
何も友達を踏み台にしたりとか、人を裏切ったりという人の道に反したことで後悔しているわけでなく、自分の選択について後悔しているのであれば、引きずらないことが大事ということですね。
4年目の多浪生活ですっかりマイナス思考になってしまった彼を、プラス思考にするにはどうしたら良いでしょうか?
彼の話にある現役の時の私立大学合格を蹴ったことを後悔しているという点は、それがあったから4浪を続けるまでモチベーションをキープできたと思えるし、もし、私立大学に進んでいたとしても4年経った頃に、「医学部に進学していれば良かった」と逆に進路で悩みを持っていたかも知れないわけです。
予備校の講師から「来年は合格できると思うよ」と言われても疑心暗鬼になってしまう点は、励ましてもらっているので感謝の言葉を伝えて、「でも不安があるので悩んでいます」と正直に話してみれば良いわけです。
根拠もなく「来年は合格できると思うよ」と予備校の講師は言いませんので、自分の実力と志望大学のレベルを考えて言っているはずです。
だから「不安で悩みがある」と伝えることで、勉強方法やこれまで指導してきた多浪生の体験談などから様々なアドバイスをしてもらえると思うので、自分では気づかなかった発見があるかも知れません。
要は自分で決めつけないで、指導のプロからアドバイスを受け入れられるように心を開くことというアドバイスですね。
これは医者になって診療で患者さんに接するときにも必要で、何でも受け入れられる広い心を持つという点で共通します。
それから就活についてですが、仮に4浪で医学部以外の学部に合格して26歳で卒業となるので、年齢制限は覚悟しないといけないですね。
でも面接でアピールする時に「自分は医者になる夢を実現するために4浪の努力をしたので、悔いなく○○大学△△学部で4年間を過ごすことができました。大学生活では・・・」と多浪生活と大学生活の8年間で、人生経験を積んで人間力を養うことができたと具体的な活動例を伝えれば、面接担当者にしっかり印象づけられるはずです。
今は就活が目的になって、せっかく採用された企業を3年前後で辞めて行く新卒社員も多いので、かえって会社にとって必要な人材と思ってもらえるかも知れません。
そして、それは医学部の多浪生の面接差別を突破する力にもなるはずです。
多浪であるかどうかより、本人が医者として適性があるかどうかが大事で、「医者になる」という夢を叶えたいなら頑張るしかないというアドバイスですね。