そもそも今まで何してたの

6年前(2017年)に今の会社(IT系)に入り、マーケティング部門を担当していました。主な業務としては

 

・広告出稿に係る対応(代理店や媒体とのやり取り)

・Web広告の調整(検索エンジンに出稿する連動型広告の管理)

・Webサイトの管理、更新、コンテンツ作成(記事執筆)

・Webマーケティング関連イベントでの講演(スピーカー)

・インサイドセールス

・広報業務(プレスリリースの作成、配信、メディア対応)

・IR(投資家向けリリースやイベントの対応)

・課長としての管理職業務(人事考課、チームマネジメント)

・採用(自チーム採用を行う際の求人票作成、書類選考、面接対応、上司への推薦)

 

と、書いてみると実に幅広く色々な事をやってきたなという感じです。

 

これから何するの

商社のコーポレート部門で広報の専任として働きます。

 

 

なんで転職するの

1.機械化・自動化に代替されにくい仕事でスキルを磨きたかった

これまで自分が担ってきた業務のうち、費用や業績への寄与度として大きかったのは「Web広告周り」でした。しかしながら、特に検索エンジン関連(リスティング、ディスプレイ等)はプラットフォーマーによる管理と自動化が進行し、人の手で予算やクリエイティブを調整する余地というのは0とまでは行かないものの年々少なくなっているのが実情です。

 

省人化の見通しが容易に立つ領域においてコミットし続けるのではなく、人間自らが知恵を働かせ、コミュニケーションを大事にし、考え抜くことが求められる領域にて自分のスキルを高め、10年後、20年後も必要とされる人材になるためにどこで戦うのが良いかを考えたときに、自身が担ってきた「広報・IR」領域の経験値を高めることが有意義であると判断しました。

 

2.今の会社では、広報・IR関連の業務関与は今後も限定される

実際転職先での業務は今もやっていることではあり、無理に環境を変える必要はありませんでした。しかしながら、従業員100人程度の小さな会社ではマルチタスクが前提となりマーケティング業務の片手間で広報をやっていたのが現状で、なおかつ業種柄広報にそこまで大きなリソースを割くほどではなく、いわゆる「売りにつながる」広告・マーケティング施策を優先する方針でもありました。

 

将来的な重要度の高まりを見越し、広報・IR部門を独立させるべきという提案も行ったのですが今後もその方針に変更はなく、現状の業務量では5年〜10年先に経験値を積み増せる見通しが立たなかったこともあり、自身の成長機会を得るためには環境を変えたほうが良いという判断もありました。直談判した経緯もあり、今般の退職理由は上司も納得してくれました。

 

3.今年で35歳になるので、動くなら今がラストチャンスかもと思った

転職市場の盛り上がりもあり今はさほど厳しくもないのでしょうが、やはり企業としては「安く長く働いてもらいたい」というのが本音。求人上明確な年齢制限こそないものの、かつては中途採用の目安は「35歳まで」とも言われていたこともあり、大したスキルを持たない自分がキャリアアップのために転職を志すとするなら、動けるうちに動いておきたいという思いもありました。

 

このあたりは、今の会社がIT企業ゆえ人材流動性が比較的高く、元々退職金も無く終身雇用を前提とした制度設計でないこともあり、下手に引き止めるよりそれぞれの選択を尊重しようという空気感であったのもプラスに作用したと思っています。

 

4.マーケティングという世界から離れたかった

皆さんは、「マーケティング」という言葉にどんなイメージを持っていますでしょうか。認識や方向性は人それぞれでしょうが、この業界に身を置いていた立場として感じるのは

 

検索エンジンや人の認知をハックすることがマーケティング」だという誤解

 

が蔓延しているなーという懸念でした。

 

例えば、ECサイトに「購入」を促すためのボタンを設置するとして、「ボタンの色は黄緑のほうが問い合わせが増える」とか「影をつけて立体的に仕立てたほうがクリックされやすい」なんて具合の言説が、さもマーケティング論としてまかり通っている現状です。ところが、これが数年すると「今のはやりはオレンジ色だ」とか「影付きの立体デザインは一昔前っぽくてダサい」などと言われてしまうわけです。つまり、これらの工夫というのは「購買意欲に働きかける」という本質を突くものではなく、単に「視覚的に目立つ」「違和感を演出する」という程度の話でしかなく「人の認知をハックする」ことで成果を上げているに過ぎないのです。

 

また、検索エンジンで自社のWebサイトが上位表示されるために行われる「SEO対策」についても、Google自ら「ユーザーの利便に資するように」とアドバイスされているのみ関わらず、「徹底解説」「比較・まとめ」みたいに上位サイトのキーワードをそのまま引用することで順位が上がると勘違いしているマーケターは少なくありません。本来、デザインを良くすることが必要なはずなのに何かと理由をつけて「上位に来ているサイトには○○というキーワードが入っているから、ウチも入れてみよう」なんて対策方針がまかり通っているのも、「検索エンジンをハックすることで順位は上がる」という勘違いに基づいた判断なわけです。

 

マーケティングの究極の目的は「営業不要でセールスできる仕組み作り」にあると考えます。

もちろん、そのために様々な打ち手があることは理解しています。

 

しかしながら、こうした安直な提案でお金や人的リソースを無駄遣いする会社や、こうした取り組みをさも「マーケティングとはこうあるべき」みたいに喧伝するキラキラした人たちはかなりの数存在し、そこに身を置くことに段々と疲れてきたというのが正直なところです。

 

こうした誤解の元にマーケティングを学んだつもりになった人間が増えると、近い将来「マーケティングだけやってきた人間はいらない」と転職市場で言われる時代が来るのではないかと思っています。寧ろ、本質を理解しないまま「マーケティング」という看板を背負わせるような企業に就職・転職することは、本人の認識を曲げてしまうリスクさえあると思っています。

 

そもそも、マーケティングとはそれ単体では完結せず、営業、経営企画、製品戦略など複合的な要素との掛け合わせによって、その会社にとっての最適解を見出すべき領域であると考えます。そういった意味では今の会社はマーケティング部門に様々な役割を課すなどその点をよく理解しており、個人としても実に様々な経験を私に与えてくれました。実際、面接でも色々なことをやってきた経験が評価された側面もあり、新卒のポテンシャル採用とは違ったアングルで自分を見てもらうにあたり大きな武器になりました。サンキュー現職。

 

どうやって転職したの

元々、新規取引先などの評判を確認する目的でOpenworkに登録していたのですが、口コミ参照期限を更新するために登録情報を入れ直したところドッとスカウトが来たことがきっかけでした。

 

その中で、あるエグゼクティブ系転職エージェントから声をかけていただきました。小さなIT企業の中間管理職がお世話になるにはいささか敷居が高いかと思いながら、タダで話を聞いてくれるとのことで面談をしたところ、意外と自分クラスでも応募できる求人を取り扱っているとのことでお世話になることを決めました。

 

エージェントは紹介者の年収の一定割合をマージンとしてもらう仕事なので、「より多く」「より高額のオファー」を受けさせる傾向がありますが、結果、12社応募して書類選考に通ったのは半分。落ちたのは分不相応と思いながらもエージェントに促されるまま受けたグローバル企業ばかりでしたので、これでも多く通ったほうでした。そこから面接に進み、最終的には5社から内定を得たうちの1社が冒頭に紹介した商社の広報部門でした。

 

転職理由で述べたとおり、今回は広報・IR業務を軸に選定していたので受けた業種はバラバラでした。メーカー、リテール、IT、コンサルと幅広く受けましたが、一口に広報といってもやることは企業によって全然違いました。今回、もう1つの希望として「コーポレート広報に携わりたい」というのがあり、広報だけやっていても将来に繋がりにくいため、プロダクト単位で完結する業務よりも会社全般の経営に近い領域で仕事ができる企業を探していました。どの会社も面接では業務内容から期待される役割までを細かく説明してくれましたが、転職先は自分の希望する業務内容とのマッチ度が最も高いと思える企業でもあったため、この辺の軸を持っておいたことで最終的な判断がブレないなと感じました(年収だけで言えば他にもっと良いところがあったため)。

 

ちなみに、今の会社に入ったのもエージェント会社の紹介経由でしたので最初はそこにお世話になろうかと思ったのですが、あいにく紹介できる求人がないとのこと。当時のエージェントはどちらかというと第二新卒を含む若手主体の求人に強みがあり、今の私との相性は必ずしも良くなかったと言えます。年齢やキャリアに応じたエージェントを選ぶことの大切さを今更になって実感しています。

 

あと、今回お世話になったところは専任エージェント制ではなく、業種・業態ごとにそれぞれの担当が求人を持ち寄ってくるタイプでした。なので、最初に面談したエージェントと転職先の担当は異なるのですが、いずれの方も良い人でしっかりとコミュニケーションも取れ安心できました。

 

一方で、こう言ってはなんですが自分の都合を優先するあまりビックリするほどレベルの低いエージェントが居たのも事実。夕方に連絡してきて「今日中に職務経歴書を出せ」とか、わざわざ20時に電話してくるから何事かと思って電車を途中で降りて電話に出たら「書類選考に落ちました」という連絡(んなもんメールで済ませろや)を寄越してきたり。ここらへんは個体差もあるので、向こうのビジネスを理解した上で程々に対応するのが疲れない秘訣かなとも思いました。

 

但し、他の人の転職エントリにも言えることですが、結局自分ひとりの経験の範疇でしかなく、自身の体験談が再現性のあるものかどうかは正直自信を持てません。この記事を見てくださった貴方には「あ、こういうケースもあるんだ」程度に思っていただければ幸いです。

 

また転職するの

結論、しない可能性のほうが高いのかなと思っています。

 

新卒で入った会社で5年、今の会社で約6年勤めてきて、人によっては10年ちょっとで2回も転職すること自体がマイナスイメージを持たれることもあるかと思います。成長のための転職だなどと私も偉そうなことを言っていますが、それはあくまで受け入れてくれる企業ありきの話。当然この先も仕事を通じた研鑽を怠らないようにと思ってはいますが、自分という人間の器とこの先更に年齢を重ねることを考えれば、5年、10年経ったときに今以上に高望みをすることが本当に現実的なのかと考えてしまいます。

 

私は、自分が大した人間でないということをよく知っているつもりなので、今回のキャリアチェンジもギリギリまで自分の可能性をストレッチさせた結果だと思っており、まずは次の仕事に全力であたること、それに尽きます。ベストを尽くせば結果は出せる(至言)

 

最後になにか言いたいことは?

次の会社は都内のオフィスで9時-17時勤務なので、落ち着いたらまた飲みに行きましょう。