先ほどのこと。
 
三女のさっちゃん(1歳半)が、

はさみを、刃の開いた状態で 
にぎりしめていた。


わたしが
次女の歯の
仕上げ磨きをしていたときのことだった。


「あぶないっ!!!」

わたしは
叫んで、

慌てて
さっちゃんからハサミを取り上げると、

ピシャツと、
さっちゃんの小さな手を

「コラッ!」と怒鳴りながら、
叩いた。  

さっちゃんは
ギャーギャー泣いた。

わたしは、血の気が引いた。

幸い、手は切れていなかった。


「なんでこんなところにハサミがあるのっ!」

わたしはヒステリックに怒鳴った。


わたしは、刃物がこわい。

ハサミは危ないから、

いつも
さっちゃんの手の届かない
高い場所の引き出しに
しまってあるのに。


聞くと、長女(5歳)のみーちゃんが

「みーちゃん、
 ハサミしまうの忘れちゃった。。」

と、目に涙を浮かべた。


わたしは、カッとなって、
怒鳴った。


「みーこ!!!あんた!
 もしさっちゃんの手がハサミで切れて
 ケガしたらどうすんの!!!

 ちゃんとしまってよ!!
 ママは
 ハサミと包丁がこわいの!!!

 たのむよ!
 ほかのものならまだしも、
 刃物を出しっぱなしにしないでよ!!!

 みーちゃん、お願いだよ!!!
 さっちゃんがケガしたらどうすんの!!!
 
 ハサミはしまってって
 いつも言ってるじゃん!!!」


ありったけのヒステリックな声で
怒鳴り散らした。


長女は、オイオイと泣いた。


私の奇声を聞いて、
庭で作業していた姑と、
部屋にいた舅も、
何事かと出てきた。


寝る支度ができていたので、

わたしは、
泣く子供たちを連れて、

離れの自分たちの部屋に上がった。


布団に入ってからも、
私の怒りと恐怖が収まらず、

「ママ、怖かった。
 さっちゃんの小さなかわいい手が
 ハサミで切れてしまうんじゃないかって、
 怖かった。

 とってもこわかった。
 もう、あんな思いしたくない。

 さっちゃんの手、切れちゃったらイヤだ。
 怖いよう。こわいよう。
 さっちゃんの指がなくなっちゃったら
 こわいよう。」


長女に聞こえるように、
ネチネチぶつぶつ言い続けた。
それでも、
わたしの恐怖は収まらなかった。


いつも
「ママと手をつないで寝る」と
甘えてくる長女が

今日は、布団を頭からかぶって、
一言も言わずに、寝てしまった。


次女も、三女も、寝た。



あーあ。。。。。

怒鳴り散らしてしまった。

わたし、
あんなに怒鳴らなくてもいいのに。


なんでわたし、
「危ないから今度は忘れずにしまってね。」

そう、冷静に言えないんだろう。

長女だって、
「しまった!」って顔してたのに。。


あんなに
怒鳴らなくてもいいじゃないか。

あんなにヒステリックに
叫ばなくてもいいじゃないか。



あーあ。。。。。

けど、さっちゃんの手、
切れてなくて良かった。


思い出しただけでもゾッとする。


ついカッとなって、
あんなに小さくてかわいい手を
思い切り叩いてしまった。


姑と舅も、
わたしのこと、さぞかし
ヒステリックだと思ったことだろう。


あーあ。。。。


怒りたくないなあ。

かわいい子供たち。

もっと、可愛がって、
おおらかに
育てたいなあ。。。

ほんとうは、
もっとかわいがりたいのに。

怒りたくないなあ。

幸せな気持ちで
眠りにつきたいのに。

ごめんなさい。ごめんなさい。

叩いてしまった。

ごめんなさい。ごめんなさい。

怒鳴ってしまった。