On nOthing  -249ページ目

短編小説 Wonderful One Wonder 6

中は暗く何も見えなかった。電気をつけると仏壇がまず見えた。

「すみません」と言うが反応は無い。誰もいないのか?

次に布団が敷かれていたが、そこには誰も寝ていなかった。

念のため触ってみるが、誰もいなかった。

壁に賞状がかかっていた。どうやら将棋の大会のものの様だ。

廊下に戻り、そこに一つある部屋に行く。

そこは物置として使われてるみたいで、雑然としていた。色んな箱やガラクタが積まれている。ビール瓶が箱に一杯はいっている。それが積まれている。

後は二階だけだ。

二階に行く。階段はギシギシ軋む。

二階には部屋は三つあった。

一つ目を開けるが中は何も無かった。壁にポスターが貼られていたが、今は使っていない部屋の様だ。

二つ目の部屋は女性の部屋らしく、女ものの服や、可愛らしいぬいぐるみが何体かあった。
最後の部屋か、ここか・・。と息を飲む。

「誰かいますか?」と言って見るが反応は無い。

ドアを開け、電気をつける。

そこは書斎になっているみたいで、本が沢山あった。専門書が多く、社会福祉系の本が多くみられたが中には誰もいなかった。

「どうだった?」と外にでると犬は聞いてきた。

「いや、誰もいませんでしたよ」

「そんな訳ないだろ」と叱責する様な声をだす。

「いや居ませんでしたよ。旅行にでも行ったんじゃないんですか」ほっとした様な、納得出来ない様な複雑なじれったい気持ちになった。それがその犬との最初の出会いだ。

大事にならず事務所に戻り作業を始める。

非日常的な出来事があったおかげか、仕事が捗った。

図面は夜中の2時に仕上がった。

辺りを見渡すと先輩はまだ終わっていないらしく、カタカタ音を立て作業していた。

「終わったのか?」先輩はこちらに気付き言う。

「はい」

「見せてみろ」と検閲される。
プリントアウトし、先輩に持って行く。凝視し、チェックしていく。

「うん、良いな。まぁ一応先輩だからチェック位してやらないとな」と言って、図面を返される。

「先輩何か手伝いますか?」と聞く、いつもお世話になっているので、手伝える事はなんでもしたかった。

「うーん、いや大丈夫だな。もう終わるし」と言う。

「そうですか」

「ああ、ありがとな」

「じゃ、俺帰りますんで」

「ご苦労さん」

「お疲さまです」と言い鞄を持って事務所を出た。

外に出ると新鮮な空気が心地よかった。

目が痛く、シパシパした。

犬のところへ行こうと思い、帰る方とは違う方にチャリで行く。仕事が終わったら来ると約束したのだ。

外は静かで、誰もいなかった。

犬をどうしようか考えていた。

結局うちはアパートで飼えない。ん、そもそも飼うのか?それは可笑しいと思い思わず笑ってしまった。飼うかぁ、良いかもなと思いながら漕ぐ。

でも主人はどこへ行ったのだろう?結局犬が喋る理由も分からない。

多分芳花(よしか)って子が重要だと思う。どうにか連絡先を調べるしかないか。

鞄に入っている、パンを犬にあげたら喜ぶかなっと想像すると、楽しくなった。

犬の前まで行き小屋を見ると、犬は寝ていた。一瞬起こそうとしたが、悪いなと思い止めた。

犬が字が読めるか分からなかったが、書き置きをしといた。また明日来ます、と。

その日はパンを置き、家に帰った。

 



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