収入保障保険では万一の場合の教育費をカバーできません | FPで保険屋のオッサンのブログ

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今回は保険見直しで提案される事が多い収入保障保険についてです。

 

定期保険に比べて保険料が安く、万一の時の必要な資金が確保される保険としてここのブログでも多くの方が記事にされてメリットだけが強調されていますが、そのデメリットについてです。

 

説明を簡単にするために、万一の場合の必要資金が教育費だけだとします。下の棒グラフはある家族の教育費の年度ごとの推計ですが、3人の子供で4248万円になります。

 

3人の子供は高校まで公立で、長男はお金がかからない国立大学(黄色の棒グラフ)、次男は私大理系(茶色の棒グラフ)、三男は私大理系(緑色の棒グラフ)です。

 

 

14年目まで年100万円前後の支出だったのが、15年からは次男の4年間の私大理系の入学金や授業料で急激に支出が増えます。さらに三男の大学4年間の支出が重なります。

 

下は教育費の累計の推移と初年度4300万円の収入保障保険を重ねたグラフです。毎年205万円分の保障が少なくなる収入保障保険の保障額を黄色の右下がりの棒線で表しています。

 

 

 

黄色の棒線の上部が保障不足になりますが、全期間にわたって保障が足りないと言うのが分かると思います。収入保障保険では形が合わないのです。

 

教育費は14年目まで100万円前後の支出なので実際の減り方は遅いのです。それに対して収入保障保険は毎年205万円の保障が減っていくので次第に格差が大きくなるのです。

 

従って、保険見直しで提案される収入保障保険も多くの場合はこのように保障が足りない状況になっているのではないかと推測されます。万一の時は保障不足で大変な事になります。

 

では、収入保障保険は役に立たないのか?と思われるかもしれませんが、子供がいない夫婦や子供が独立している夫婦の万一の場合の必要保障額には収入保障保険はピッタリだと思います。

 

必要とする生活費は毎年ほぼ同じような金額で減っていくので収入保障保険の減り方を合わせれば良いからです。さらに、借金の残高の推移にも合わせる事ができます。万一の場合の借金の返済用に収入保障保険は使えます。

 

それでは、子供がいる家庭に合った保険見直しはどんな保険を使えば良いかと言うと、やはり定期保険だと思います。どうしても収入保障保険を使いたい場合は、教育費分として定期保険生活費分として収入保障保険です。

 

定期保険を下のグラフのように保険金額を2~3年毎に減らす事(減額する事)によって教育費の累計に合わせる事ができるし、保険料も減額した分が削減できるのです。

 

 

減額の手続きは難しくありません。契約者が保険金額をいくらにしたいか減額後の金額を書いて保険会社に送付するだけです。

 

以上の事を行うには、前提として必要保障額と年度毎の推移を把握しなければなりません。万一の場合の家計のシミュレーションが必要になってくるのです。

 

保険営業やFP(ファイナンシャルプランナー)がお客様に収入保障保険を提案するなら、保険会社のパンフレットやFPのテキストを鵜呑みにしないで実際に必要保障額をカバーしているのかどうかを見極めてから提案していただきたいと思っています。

 

栃木・宇都宮の

FP・保険コンサルタント

五十嵐良太郎

 

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