本当にお客様目線になったのか(保険ショップの功罪) | FPで保険屋のオッサンのブログ

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1996年に保険業法が改正されて、複数の保険会社の商品を扱える乗合代理店が認められ、その中から多くの保険ショップが急成長してきましたが、以下のような問題が指摘されてきました。

 

①お客様の意向や状況を考慮しない保険提案を行っている。

②利益優先で手数料の高い保険商品を販売している。

 

2016年5月の保険業法の改正は、大手保険ショップに金融庁の調査が入りその結果を受けて行われました。つまり、保険ショップの行き過ぎた行為を規制するための改正なのです。

 

①については、2016年の保険業法改正では、打ち合わせの初期段階から最終段階までお客様の意向を把握する事が明確に法律で義務付けられました。今までは契約時に「この保険でいいですよね」という意向確認だけでした。

 

そして、その証拠として意向把握シートにお客様の意向を都度確認して記入・保管する事になりました。

 

これによって、医療保険に加入しようと思ったのに終身保険まで売られたとか、終身保険だけに加入しようとしたのに収入保障保険と終身医療保険も売られた、と言うお客様不在の身勝手な事がなくなるとされています。

 

②については、20~30数社の保険商品を扱っている大手保険ショップは、利益を優先して手数料の高い商品を優先して販売してました。明らかにお客様への背任行為と言えます。これに対して、保険商品の比較と推奨理由の明確化が法律で義務付けられました。

 

これからは営業にお任せではダメです。複数の商品をお客様が比較できて、なぜその比較商品を営業が提示したのかの理由を説明しなければなりません。もう手数料の多い商品だけを販売できなくなったのです。

 

さらに、手数料の高い商品の販売に偏ってなかったかチェックするために、金融庁は15社以上の保険会社を扱っているか、手数料や報酬が10億円以上になる代理店(これに該当するのは保険ショップ)には手数料の開示を求める事になりました。

 

そして、お客様の情報を適切に取り扱うための規定の整備などが義務付けされ、レベルの高い管理体制が行われるようになりました。これは保険ショップ問題による効果だと思います。

 

 

しかし、何百万人ものお客様を食い物にして、さらに保険会社から特別に高い手数料を要求する保険ショップの行為は許されるべきではありません。

 

保険会社も他の代理店の手数料よりはるかに多い手数料をこのような行為をしている保険ショップに支払い、成長を後押ししたのは売上優先であり非難されるべきだと思います。

 

ある週刊誌によると、保険会社のS社は手数料と報奨金で保険料の75%、M社は100%を超すお金が保険会社から保険ショップに流れたと言う記事を載せています。(現在も継続しているのか不明です)

 

一般の代理店の手数料率が20%~30%ですから、3倍~4倍もの金額を手にする事ができたのです。わずか10年位で全国展開ができるほど大きくなったのも頷けます。

 

他の方のブログを見ると、保険ショップの現在の対応は好評なようですが、「これ以上は問題は起こさないでくれ」と言う思いです。このような事が再び起これば、すべての保険代理店の信用が失墜します。

 

また、保険業法を改正しても「おかしい事をやらないだろうか?」と不信感があります。

 

高い手数料の商品を販売する事で運営していた保険ショップが、他の代理店と同じ低い手数料の商品を販売していては経営が行き詰るはずです。問題を起こした役員や営業は処罰されず残っていて人心を一新しているとは思えません。

 

保険業法改正から6ケ月。本当にお客様目線になったのか?これは他の小さい代理店の方々も同じ思いであり、“大きい問題児”の保険ショップの動向を注視していると思います。

 

<追記>

心配なのは、保険ショップの営業がいろいろなリスクを強調してお客様の意向を違う方向にねじ曲げてしまわないかと言う事と、保険ショップに行った複数のお客様が持参された資料の中に必要保障額を算出した資料が見当たらない事です。

 

お客様の知らないリスクを説明するのは結構ですが、必要以上に強調して意向を変えてしまい、余計な保険商品を売り込むのではないかと言う心配です。

 

意向把握シートには、最終段階でお客様の意向が変わりましたのでこの商品を提案しましたと記入するだけで済んでしまうからです。

 

また、今回の保険業法改正でも抜け穴があると言う記事を9月に書きましたが、この抜け穴で意向把握の意義がなくなってしまうおそれがあるのです。

 

さらに、必要保障額を計算しないでどうして死亡保険の設計書を作れるのか不可解なのです。これではお客様の身体の寸法を測らないで洋服を作っているようなものです。

 

一度、保険見直しのお客様を装い保険ショップに行って確認する必要があると思っています。