稚内から列車で南下し、旭川で乗り換えて更に行くと、富良野に辿り着く。富良野は旭川から美瑛を経て辿り着く路線と、滝川から芦別を経て辿り着く路線、更に長いトンネルを越えて新得に至り、帯広を中心とする十勝地方、帯広を経て釧路方面へ通じる鉄路の交差する場所で、列車の旅では乗換えで時間を潰す必要が生じる場合もある駅だ。
私はこの富良野駅で列車乗換えのために2時間程を過ごす羽目になったが、静かな市内の方へ歩いてみた…街は酷く静かだ…「腹ごしらえでも…」と歩いていて、喫茶店を見つけた…
駅前の道を真っ直ぐ進んだ、移転によって閉鎖されてしまったバスターミナルの正面に小さなお店があった…そこでスープカレーを頼んで驚いた…
他所から仕入れた物もあるのだが、地元富良野辺りの野菜を確りと煮込んだスープにスパイスを加えた、実に濃厚なスープカレーが出てきた。それも「スイス風のフォンデュに使うものなのですが…」という、ランプで下から炙る仕掛けの鍋に入ってである!!好みでやや辛口にもしてもらえる!!
なかなかに落ち着く、静かな街の素敵な空間
で、身体の芯が暖まるスープカレー…冬の旅にはうってつけだ!!
度々夜食を愉しむ“5FのV”…「知る人ぞ知る」という感の、近所の名店である。「シンプルな一皿に、職人の経験と勘が滲む…」というようなメニューが揃い、思いつきで注文をして“ハズレ”は無い!!
宗谷では大きな蛸が獲れる…栄養豊富な北の海で確り育った蛸なのだが、“5FのV”では、それを定番スパゲッティのぺペロンチーノに組み合わせるということを試みた…このメニューが登場以来、私にとっても「週に一度やそこらは食べたい…」というような定番メニューになってしまった!!
蛸を料理に入れると、出汁のように味が出て、それが愉しめるのだが、蛸の身自体も適度な加熱で美味しくいただくことが適う。地中海の一部の国々では、蛸を料理に使う訳だが、北の海の蛸もイタリアンには欠かせないオリーブオイルを加味して熱を通しているので、何処か地中海風な雰囲気になる。決して煩くない分量の玉葱が入り、ニンニクと唐辛子の味加減も蛸と麺に巧く絡む!!
“5FのV”では、パスタ類は悉く“茹で上げ”である。音楽やスポーツを愛する穏やかなマスターが、キリっと職人の表情になり、長年培った勘で、最高のタイミングで麺とソースを用意してくれる…多少待って、湯気が上がる皿が、オリーブオイルで照明を反射させながら登場する時は万歳三唱ものである!!
この宗谷のタコのぺペロンチーノだが、スパゲッティの定番中の定番であるオイルとニンニクと唐辛子に、北の海が育んだ出汁と、気の済む按配に調理可能な生で仕入れられるからこそ実現かのうな加減の白いタコの身が加わっている代物で、「贅沢とは高価であることと同義ではない!!」と感じさせてくれる…
「私だけの素晴らしい一皿!!」と秘匿しておこうかとも思ったが、当地の所謂“観光シーズン”も残り少ない昨今、「真の贅沢」を各地の皆さんにお伝えしようと、記事を起こしてみた次第である…
素材の持ち味を充分に活かし、それを愉しむ…和食がそういう傾向だが、欧州の料理では山海の新鮮な幸に恵まれてきた経過のあるイタリア料理がそういう傾向にある…
この両者が出会い、和食の素材を採り入れた“和風スパゲッティ”というようなものは数多在る…タラコを使ったものなどは、そうしたものの定番である…
が…所謂“和風スパゲッティ”という文脈で登場するタラコのパスタは、海苔が載っていたり、卵が載っていたり、他の具材も利用するケースが殆どだ…という現状に「シンプルなものが一番!!」と果敢に挑戦し、見事な味になったのが、この「デビュー前夜!!」の新メニューである!!
タラコは塩味なものだが、このパスタはその塩味を活かし、魚卵の生臭さを抑え「直ぐにペロリと…」という一皿に仕上がっている!!「温かご飯にタラコを載せて掻き込む」という“快感”が、スパゲッティで味わうことが出来る!!或る意味で“画期的”だ!!
多分“5階のF”でしか味わえない、究極的なまでにシンプルな美味さ…“シンプレ”と、ズバリ「シンプルなスパゲッティ」というような命名がなされそうである…
サロマの牡蠣…北海道の美味いモノの一つだが、小樽
の店では定番メニューに一寸工夫をしていた…衣にチーズを入れるなどしている…
「ソース!!醤油!!」という声が上がらないように、また水分も多い牡蠣がサクッと揚がるように…さりげない手の入れようが嬉しい!!





