朝青龍引退で号外をもらう | タイトル募集中

朝青龍引退で号外をもらう

大相撲の横綱、朝青龍さんが引退を決断したそうで、池袋駅前で号外をもらった。



産経、毎日、日刊スポーツの3種。



日刊スポーツの号外の裏面は、朝青龍さんの軌跡を、たくさんの笑顔の写真でまとめていた。



いろんな人と交流して、世界にいっぱい笑顔を生み出してきたんだな。



電車の中で、涙がこぼれそうになった。



ことによると、これが僕が受け取る生涯最後の号外かもしれないな。



千葉県にいた頃は、号外なんてテレビ画面の中の出来事でしかなかった。せっかくだから保存しておこうか、とも思ったが、こういうのをいちいち取っておけるほど部屋は広くない。



また、これまでの人生を振り返るに、だいたいこういうのって、それっきり二度と見ることはないんだよね。



帰宅後、もう一度眺めて、新聞紙の回収袋へ。



テレビニュースを見ると、街の反応は「解雇しろ」が大勢だった。



横綱というのも、公務員とかと同じ「他人」なんだな、と思った。



どうして多くの人は、「他人」の問題となると、「職を奪う」という社会的制裁に簡単に賛同してしまうのだろう。



仕事を失うというのはたいへんなことだ。



交通事故で人を死なせてしまっても、以前は仕事を続けることができた。



そうでなければ、賠償金だって支払えないだろう。



しかし近年は、飲酒運転の場合は即刻解雇する、という流れである。



個人的には、放火・殺人と飲酒運転が同列というのは違和感がある。



交通事故を起こしたくて飲酒運転をする人は(滅多に)いない。



というか、「意図的な事故」なら「殺人」の範疇だ。



社会的制裁というのは結局、私的な制裁だ。



客観的な基準がなく、世間の空気が事の軽重を場当たり的に決めてしまう。



酔って暴れて、でも被害者との間で示談が成立して助かった、なんて話は僕の周りにもある。



「横綱だから解雇でいいんだ」という切断思考に、僕は与しない。



「被害者の立場になって考えろ」なんてことをいわれるわけだが、酔漢が横綱なら許せないが、一般人ならいい、なんてことがあるのか。



自分が酔払い運転の車のせいで怪我をしたとき、運転手が公務員や有名企業の社員なら許せなくて、貧乏な自営業者なら許せるのか。



「他人」にばかり厳しいことをいわないでほしい。



横綱の「引退」を

「生ぬるい。解雇すべきだ」

とまでいった人が、酔って人を殴るようなことがもしあっても、僕は「仕事を辞めろ」なんていわないよ。