バッハという作曲家が書いたクラヴィーアのための曲に「ゴールドベルク変奏曲」というのがある。これは「バッハが音楽を手ほどきしたゴルトベルクが不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のためにこの曲を演奏したという逸話から「ゴルトベルク変奏曲」の俗称で知られている(Wikipediaによる)のだが、確かにつまらない演奏だと見事に寝てしまうのある。何度かこの曲を生で聴いているが、確かに寝そうになったことはある。
グレン・グールドという稀代の名演奏家にして、「引きこもり」演奏家のハシリ---グールドは公開の場での演奏を拒絶しレコーティングだけを続けていた---の「ゴールドベルク変奏曲」の録音が長らく愛聴盤であったが、これを超えるかというすばらしい演奏家が現れた。マルティン・シュタットフェルトという若いドイツのピアニストである。彼の録音はすばらしかった。グールドよりもナイーブなのである。最近はどちらかというとシュタットフェルトをきくことのほうが多いように思う。
彼は数年前に日本にきて、すみだトリフォニーホールでこの曲を弾いていったが、生演奏はCDほどの衝撃はなかった。むしろ、同時に弾いたシェーンベルクの演奏がすばらしかった。シュタットフェルトの本質は極めて理知的でシェーンベルクに近いのだろう。シェーンベルクに向うようにバッハに向っている。ところがバッハはシェーンベルクほど頭でっかちの音楽ではないので、しっくりいかない面がでてくる。ゴールドベルクが録音されたころは、おそらく今ほど理詰めで楽譜にむかっていなかったのではないか。もう戻れない、若い日の記録というべきかもしれない。
グレン・グールドという稀代の名演奏家にして、「引きこもり」演奏家のハシリ---グールドは公開の場での演奏を拒絶しレコーティングだけを続けていた---の「ゴールドベルク変奏曲」の録音が長らく愛聴盤であったが、これを超えるかというすばらしい演奏家が現れた。マルティン・シュタットフェルトという若いドイツのピアニストである。彼の録音はすばらしかった。グールドよりもナイーブなのである。最近はどちらかというとシュタットフェルトをきくことのほうが多いように思う。
彼は数年前に日本にきて、すみだトリフォニーホールでこの曲を弾いていったが、生演奏はCDほどの衝撃はなかった。むしろ、同時に弾いたシェーンベルクの演奏がすばらしかった。シュタットフェルトの本質は極めて理知的でシェーンベルクに近いのだろう。シェーンベルクに向うようにバッハに向っている。ところがバッハはシェーンベルクほど頭でっかちの音楽ではないので、しっくりいかない面がでてくる。ゴールドベルクが録音されたころは、おそらく今ほど理詰めで楽譜にむかっていなかったのではないか。もう戻れない、若い日の記録というべきかもしれない。