春頃から小学校で話題になっていた名前入りのコアラのビスケット


かずに教えてあげると大喜びだったから僕も嬉しくなり…おやつに買ってもらう日々を過ごす


けど…お目当ての『かずなり』コアラのビスケットには、ちっとも、出会えないからガッカリ








5つも同じ物ばかりいるの?って言われたけど…中身は違うから欲しいって駄々を捏ね手に入れた。
ローテーブルの上に置かれたバースデーケーキの側で、いいよね?と思いながらコアラのビスケット達を並べ…僕はニコニコと満面の笑みでかずのお誕生日会の準備をする。
喜ぶ姿を見れる筈と期待しながら。


ピンポーン


コップにオレンジジュースを注いでいると嬉しい音が鳴る。

「入ってー!」

大きな声を出せば玄関の扉が開き、近付いてくる可愛い足音。

「ぅわぁー!!いっぱーい!すごぉーいっ!」

可愛い足音を立てながら登場したかずは僕の側に走ってくる。
僕の期待通りに喜ぶ姿を見せてくれながら。

「あれ?これは何なの??」

瞳をキラキラと輝かせているかずの手には、小さな紙袋。

「ママが、もって行きなさいといったプリンだよ!まぁくんちの冷蔵庫に、いれておくね」
「うん」

キッチンへと走って行くかずを見送った僕は…ワクワクしながら待つ。
今日は…沢山のコアラのビスケットを準備したんだから出会えるよね?
かずのお誕生日会なんだから…僕達の名前はあるよね?

「いれてきたぁ!」
「ありがと!!」

ニコニコと可愛く笑うかずが、戻ってくる。

「開けてみよっか?」
「うんっ!ぼくたちの名前のコアラ…いるかな?」

先ず…1箱目を手に取ってドキドキしながら開けたけれど見付からずガッカリ。
でも…今日は沢山のコアラのビスケットを準備したんだから大丈夫だと自分に言い聞かせて僕は胸を張った。
今までは…ちっとも見付からなかったけど今日は5箱も用意してもらったし、かずのお誕生日会だし、きっと、大丈夫な筈。